lad=マイテックと琉球大学は3月15日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を2分で可視化する新規検査法を共同開発こと、ならびにPCR法との陽性一致率は72~94%であり、高い診断性能が示されたことを発表した。

マイテックと琉球大学は3月15日、量子結晶を用いた「プラズモン増強効果」により新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を2分で可視化する新規検査法を共同開発こと、ならびに患者検体を用いた臨床性能評価ではPCR法との陽性一致率は72~94%であり、高い診断性能が示されたことを発表した。

同成果は、マイテック所属の研究者と、琉球大大学院 医学研究科 感染症・呼吸器・消化器内科学の金城武士助教らの共同研究チームによるもの。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防ぐには、COVID-19患者をいち早く診断し、隔離することが重要だ。そのために必要なのが、いつでも簡単に検査を行える体制である。現在、COVID-19の診断には主にPCR検査が利用されているが、同検査はウイルス遺伝子を増幅して検出する仕組みのため、手技が煩雑で結果を得るまでにには早くても1時間程度、長ければ4時間程度かかる。その一方で、迅速抗原検査はどこでも比較的簡便に検査を行えるが、PCR検査と比較すると感度が低く、一度に大量の検査は行えないという短所がある。

PCR検査も迅速抗原検査もそれぞれ得手不得手があり、迅速・簡便・高感度、そして一度に大量の検査を行えるという4拍子そろった理想的な検査方法が求められているのが現状だ。

そうした中、マイテックは、自社のバイオチップを用いた特許技術を、COVID-19の診断に応用する研究を金城助教らと行った。マイテックの特許技術とは、それまでは12時間以上かかっていた金属錯体結晶(量子結晶)の固相化を、バイオチップ表面上で1分で実現するというもの。すでに同社はこの技術を応用し、1滴の血液からがんの早期診断を行う新しい検査方法を確立済みだという。

同社の言う量子結晶とは、独自開発した新しい概念のプラズモン物質であり、プラズモン物質の特徴の1つとして、蛍光物質の光を増強することが知られている。

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    マイテックが開発した新規物質「量子結晶」の電子顕微鏡画像 (出所:共同発表資料)

共同研究の結果、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を、2工程の測定前作業の後、2分待つだけで可視化できる検査法を開発することに成功した。バイオチップ上の固相化した抗体に特異的に抗原を結合させ、抗原につけた蛍光物質の光を直接関することで確認する検査方法で、簡単に言えばウイルスがあれば光ることで判別できるようになるという。また、迅速抗原検査では検出できないような低ウイルス量の献体でも定量的にカウントすることが可能だという。

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    CV検査のプロトコル。ウイルスがある場合、右の「検出」の枠内にある画像のように、光って見える (出所:共同発表資料)

研究チームでは、この新しい検査方法を「CV(Coronavirus Visualization:コロナウイルス可視化)検査法」と命名。沖縄県のCOVID-19患者から採取した臨床検体を用いた検討により、高い診断性能を示すことにも成功したという。

なお、CV検査は医療現場だけでなく、空港の検疫所や大規模イベントなど、短時間に多くの人が来場したり通過したりする場所においても、感染者の特定を容易に行えることが期待できるため、研究チームでは全自動検査機器の開発なども積極的に進めていくという。また、さらなる検査精度向上を目的とした最適化や、より大規模な臨床性能評価も行う予定としている。