富士通研究所は3月1日、人が様々なタスクを実行している時の集中度を、表情筋の動きの変化から、集中時、非集中時の顔面の状態の違いとして検出することで高精度に捉え、定量化できる集中度推定AIモデルを新たに開発したことを発表した。

  • 集中状態に現れる人共通の特徴抽出による集中度推定方式

    集中状態に現れる人共通の特徴抽出による集中度推定方式

同社は、表情筋に対応した顔面の各部位の動作単位であるAction Unitを高精度で検出する独自技術を活用し、口元に力が入るなど数秒程度の短期間の変化や、目を凝らして一心不乱に見つめているなど数十秒にわたる長期間の変化をAction Unitごとに最適化された時間単位で捉え、集中・非集中状態の違いを、それぞれの文化的背景の影響を受けにくい共通の特徴として抽出することに成功したという。

さらに、タスク固有の振る舞いが生じないように設計された探索や記憶を行う課題を、日本に加え、多様な地域の人のデータ収集が可能な米国および中国の延べ650人で実施し、機械学習用のデータセットとして構築することで、特定のタスクに依存しない、汎用的な集中度推定AIモデルを開発したという。

  • 集中度の推定結果の例

    集中度の推定結果の例

同AIモデルにより、e-learningでの集中度やデスクワークへの没入状態、工場の組み立て作業の集中度合いなど、様々なタスクにおける集中・非集中の状態を、0.0(非集中)~1.0(集中度最高)の数値で定量的に示すことができるということだ。

この集中状態のデータセットを用いて同モデルの有効性を検証したところ、85%を超える高い精度で集中度を定量的に推定できることを確認したという。また、ドライブシミュレーターによる運転の様子を収録した、集中状態と眠気による非集中状態が混在するデータで推定したところ、NEDO眠気指標に基づいてラベル付けした正解データに対して高い相関を示し、眠気による集中度低下を推定できていることが確認できたという。これにより、同AIモデルが学習を行っていない異なるタスクへも適用可能なことを確認したということだ。

同社は今後、オンライン授業やオンライン会議、営業活動などの様々なサービスへの本技術の適用拡大に向け、AI倫理の観点も踏まえて検証をさらに進めるとともに、AI集中度推定モデルの実用化を目指し実証を進めるとしている。