NECとオーストリアの量子コンピュータ分野のベンチャー企業Parity Quantum Computing(PQC)は2月10日、量子コンピュータを実現する方式の1つだという「量子アニーリング」の分野で協業を開始すると発表した。
同協業では、NECが開発中の超電導パラメトロン素子(超伝導のコイルとコンデンサで構成される共振回路)を用いた量子アニーリングマシンに、PQC独自の量子ビット間結合技術である「ParityQCアーキテクチャ」を実装する。これにより、金融ポートフォリオの最適化や、製造業における生産計画立案など、大規模な組み合わせ最適化問題に対応可能な、実用的な量子アニーリングマシンの実現を目指すとしている。
量子アニーリングでは、計算を行う最小単位である量子ビットの数や、量子ビット間の結合数が増えるほど、より規模の大きな組み合わせ最適化問題を解くことが可能だという。両社の技術を組み合わせることで、理論的には全ての量子ビットが結合された「全結合」状態を維持したまま量子ビットの集積度を高めることが可能で、量子アニーリングマシンの演算性能向上につながるとのこと。
NECは、2023年までに実用的な量子アニーリングマシンの実現を目指す方針だ。