日本ヒューレット・パッカード(HPE)は1月27日、オンラインで記者説明会を開き、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)とAI利用向けの新製品「HPE Apollo 6500 Gen10 Plus System」を発表した。最小構成価格は税別で502万5000円。
冒頭、日本ヒューレット・パッカード HPC&AI/MCS事業統括 カテゴリーマネージャーの高橋健氏は、新製品の特徴として「『アクセラレータが引き出す究極の性能』『幅広ワークロードに対応する柔軟性』『TCO削減に貢献』の3点だ」と述べた。
昨今ではCPUのプロセスルールの微細化が困難になっているほか、プロセッサの性能向上にはTDP(消費電力)の上昇が伴うため、コンピューティングの性能を追求するためには高いTDPのプロセッサの格納が可能なサーバとファシリティが不可欠になっている。
新製品は筐体が6Uで、フルワイドのサーバ「HPE ProLiant XL675d Gen10 Plus」とハーフワイドの「同XL645d Gen10 Plus」の2機種から選択でき、最新のGPU「NVIDIA HGX A100」と第2世代AMD EPYCプロセッサを備えている。
GPUは4GPU/8GPUをサポートし、XL675d Gen10 Plusが8GPUを搭載、PCIeカードタイプのGPUでシングルワイドGPUが最大16枚、ダブルワイドGPUで同10枚の搭載が可能。XL645d Gen10 Plusは、4GPUを搭載、PCIeカードタイプのGPUでシングルワイドGPUが最大8枚、ダブルワイドGPUで同4枚が搭載できる。
プロセッサは2基まで搭載でき、EPYC 7H12 2.6GHzを64コア(280W)までをサポート。前世代のGPUであるNVIDIA V100の20倍のスループットを実現し、GPUとCPUを効率的に冷却するためDirect Liquid Cooling(DLC、水冷モジュール)をサポートしている。
高橋氏は「サーバは2機種、GPUの搭載方法は自在にできるため、多様なニーズに対応できる柔軟なプラットフォームだ」と話す。
また、NVIDIA NVLinkはアクセラレータとしてGPUを連携させることを可能としている。NVLinkインターコネクトは、GPUからGPUへのメモリ間のデータ移行を可能にする専用通信を提供し、1台のA100で最大12個のNVLink接続をサポートすることで合計で毎秒600GBの帯域幅を実現するという。
第2世代AMD EPYCプロセッサは帯域幅と高いコア数を提供し、データを大量に消費するGPUへの継続的な供給を可能としており、NIVIDIA Mellanox HDR InfiniBandと統合されたプロセッサは、2つのGPUごとに最大200Gbpsの帯域幅を追加するため、クラスタレベルで運用されている企業でも2倍の速度で通信することができる。
同社では初となる4GPUに最適化されたサーバにより、HPC向けに適しているほか、2P AMDプロセッサ搭載の8GPUサーバの提供により、2倍以上に相当する最大16個のPCIe GPUの利用を可能としている。
そのほか、最大16台のフロントアクセス可能なストレージデバイス、SAS/SATAソリッドステートドライブ、最大6台のNVMeドライブを搭載し、消費電力を抑えつつデータに高速にアクセスできるなど、幅広いストレージオプションを提供する。
さらに、HPE Silicon Root of Trust技術により、ファームウェア保護、マルウェア検出、ファームウェアリカバリを可能にすることに加え、HPE iLOサーバ管理ソフトウェアを使用すれば世界中のどこからでも、HPEシステムを安全に設定・監視・更新することを可能としている。
加えて、HPE GreenLakeにより、従量課金制で新製品を導入でき、導入に際する要件から理想とするソリューションを実現するためのロードマップをサポートチームが作成し、データの移動やアプリケーションリファクタリングに伴うコストや時間をかけずにリスクを回避するというクラウドエクスペリエンスを実現できるという。
なお、同社の大島本社のAI検証センターに、NVIDIA HGX A100 8GPUを搭載した新製品を配備し、最新GPUをリモートで体感できるという。