コロナ禍で日本の新しいITプラットフォームが構築される

--コロナ禍における企業のDXに関する考え方を教えてください。

山口氏:昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、お客さまも大きく変革しています。これまでは、クラウド環境でアプリケーションを構築しなければならない、AIを活用しなければならない、といったある種の強迫観念で取り組んでいた企業が存在していました。

しかし、現在では何をやるべきかということが明確になってきており、DXを推進している企業は3つのグループに分類されます。

1つ目は、これまでは存在しなかったソリューションや製品を創出する企業、2つ目はデータをもとに変革する企業、そして3つ目はマルチクラウドやハイブリッドクラウドなどインフラのプラットフォーム自体を変革する企業です。これら3つの領域でDXが進んでいます。

DXで成功している企業は、経営のトップあるいは経営陣がDXの重要性を理解し、自ら旗振り役になっている企業や最新のテクノロジーを徹底的に活用して新しいモデルを構築している企業、試行錯誤の文化を共有している企業、IT企業などと協業してエコシステムを構築する企業、外部採用も含めて人材育成に積極的に取り組んでいる企業、これら5つのパータンを推進している企業です。

--2021年の日本におけるDXはどのように進展していくと考えていますか?

山口氏:闇雲に最新のテクノロジーを使うのではなく、経営の変革そのもの=DXと捉えて取り組んでいる企業は先進的です。

DXについて多様な側面から取り組んでおり、数年前までは人材不足が想定されるため基幹システムを更新しなければならないという世界でした。しかし、昨年後半から新しいテクノロジーを活用して変革しなければならない、という方向に舵を切っていると感じています。

また、新型コロナウイルスにより、さまざまな職種のプロセスを変革できると気付いたのではないかと思いますが、突発的に新しいテクノロジーが出現したわけではなく、従来からあったものです。

そのため、今年は企業間のシステムがつながり、異業種の企業同士に加え、行政系のシステムも最新化されていくことが見込まれています。そのような中で日本の新しいITプラットフォームのベースとなるアーキテクチャがオープンな考え方で構築される年になるのではないでしょうか。

これを構成するためには、さまざまなシステム、例えばメインフレーム、クラウド、アプリケーション、SaaSなどを適材適所で活用することです。つまり、“システムのダイバーシティ”として、多様なテクノロジーのメリットを尊重し、新しい世界を作り上げるべきです。