野村総合研究所(NRI)は12月17日、2026年度までのICT(情報通信技術)に関する国内市場における動向分析と市場規模の予測を発表した。以下、デバイス市場、ネットワーク市場、xTech市場の予測を紹介する。

デバイス市場

コロナ禍により、販売低迷やサプライチェーン分断が発生し、デバイス市場も大きな影響を受けている。今後、5GサービスなどDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える基盤整備が進むと、デバイスの利用方法が変わったり、新たなニーズが創出されたりすることが期待される。

日本における5Gの商用化サービスは2020年3月から開始されたが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴う緊急事態宣言や東京オリンピック・パラリンピックの延期に伴い、当初想定よりも普及は進んでいない。同社は、ミドルレンジ以下の価格帯における中国系メーカーのラインアップ拡充が主要因となり、2026年度には国内の5G端末は3200万台程度まで拡大すると予想している。

  • 日本における5G端末対応の販売台数の推移と予測 資料:野村総合研究所

また、ロボット市場においては、ソーシャルディスタンスの保持や従業員の安全確保を目的とした自動化は多くの分野で加速すると同社は見ている。事業不振やテレワークの影響で、既に検討していた実証実験が停滞・中止になるケースもあるものの、新型コロナウイルスは中長期的にロボット化を後押しするとのことだ。とりわけ、ウイルス消毒ロボットなど人命に関わる領域は待ったなしで導入が進んでいるといい、消毒ロボットは注目分野の1つとなっている。

ネットワーク市場

新型コロナウイルス感染拡大および緊急事態宣言の発出などは、人々の生活や消費生活、社会環境に大きな影響を与え、動画視聴やオンライン学習、テレワーク、ECなどのデジタル消費によりデータトラフィックが大幅増となった。同社は、「Withコロナ状態」が続くことで、デジタルを中心に消費者の行動が定着し、インターネット回線の速度の安定性、セキュリティがますます重視されるようになると考えを示した。

また、生活、社会、産業の多くの場面でICTサービスの利用が拡大し、安定した通信が改めて求められるようになり、これが光ファイバー需要の下支えとなっているという。同社は、固定ブロードバンド回線加入件数は、2026年度には約4090万件と予測した。

  • 日本における固定ブロードバンド回線の加入件数予測(回線の種類別) 資料:野村総合研究所

さらに、一般の企業や自治体が自ら構築・運用可能な「局所的な5Gネットワーク」を指すローカル5G市場においては、5G早期利用の促進、建物・敷地単位での高セキュリティネットワークの構築、遠隔作業時の遅延解消などが期待されている。ネットワーク機器が高価なため中小企業にまで広く浸透することが難しいのは課題といい、2026年度の市場規模は180億円程度と見ている。

  • 日本におけるローカル5G市場規模予測 資料:野村総合研究所

xTech市場(B2C)

同社によると、オムニチャネルコマース市場は、2020年はコロナ禍により、旅行、外食、理美容などのサービス需要が一時的に大きく落ち込んだという。反面、コロナ禍は消費行動のオンラインシフトという大きなトレンドを後押しすることとなり、2026年度の市場規模は80兆9000億円へと拡大すると、同社は予測している。

  • 日本におけるオムニチャネルコマース市場 B2C EC市場規模予測 資料:野村総合研究所

また、スマートペイメント市場は、各決裁事業者の大型キャンペーンや政府のキャッシュレス・ポイント還元事業の効果があり順調に拡大しているほか、コロナ禍での「新しい生活スタイル」に対応した「新しいサービス提供スタイル」として店舗側のデジタル技術導入が進むことで、スマートペイメントが普及すると考えられるとのこと。このため、2026年度のスマートペイメント市場は、147兆8000億円まで拡大する見込みとしている。

  • 日本におけるスマートペイメント市場規模予測 資料:野村総合研究所

xTech市場(B2B)

一方で、B2BのxTech市場規模も加速していくと同社は見ている。2020年は対面での打ち合わせ、生産活動、サービス提供・販売が困難になったことを機に、Web会議システムに代表されるような、ビジネス継続を目的にしたデジタル技術の導入が急速に進んだ。

例えば工場では、現地に訪問することなく作業を実施できる遠隔監視・制御やVRが、また、対面接客の現場では人手不足に対応するための自動化など、さまざまなソリューションの導入が進む萌芽事例が多く見られたという。

これを受け同社は、ファクトリーIoT市場は、サプライチェーンの見直し策としてARやセンシング技術を搭載した生産設備が拡大することで、2026年には市場規模が1兆1000億円を超えると予測している。

  • 日本におけるファクトリーIoT市場規模予測 資料:野村総合研究所