ルーブリック・ジャパンは12月10日、オンラインでメディア向けに11月に発表したデータセンターやクラウドなどの多様な環境において包括的なデータストレージ、データ保護、データオーケストレーションを提供するソフトウェアの最新版「Andes 5.3」の説明会を開催した。

ルーブリック・ジャパン セールスエンジニアの神近孝之氏は、最新版について「データ増加に対応するためデータ管理の『モダナイズと自動化』『クラウドへの拡張』『リスクの最小化(セキュリティ)』の3つがポイントだ」と話す。

  • ルーブリック・ジャパン セールスエンジニアの神近孝之氏

    ルーブリック・ジャパン セールスエンジニアの神近孝之氏

モダナイズと自動化では「大規模環境での高速化」「自動化されたインテリジェントなバックアップ運用」、クラウドへの拡張については「クラウド保護の拡張」「クラウドコストの低減」、データリスクの最小化に関しては「サイバーレジリエンシー」「データガバナンス」を挙げている。

モダナイズと自動化

大規模環境での高速化ではSQL Server、Oracle、Elastic App Service、NASの環境での優位性について紹介された。SQL Serverでは2500データベース(DB)を1時間、最大1万DBを6時間でバックアップ可能なほか、5000ログバックアップを1時間(4ノードクラスタあたり)でバックアップし、ログバックアップ頻度に追従できるログレプリケーションを備える。

  • SQL Serverの場合

    SQL Serverの場合

Oracleはバックアップスピードが倍増し、1GB/秒近くまで高速化しており、1TB DBを20分以下、15TB DBを5時間以下でそれぞれバックアップでき、DBリカバリに影響を与えないという。

Elastic App Serviceではマネージドボリュームのオープン/クローズの明示的な操作なしでRubrik SLA(品質保証)をスクリプトに割り当てが可能なため管理を簡素化しており、4ノードクラスタあたり最大256マネージドボリュームをサポートし、高速なリストアを可能としている。

NASについては数百万のファイルを1時間でリストアし、NFSリストア時間を従来の4分の1、SMBリストア時間を同2分の1にそれぞれ削減しており、3500万ファイル中10万更新ファイルのSnapDiffスキャンを15分以下で完了できる。

自動化されたインテリジェントなバックアップ運用では、Oracle Advanced Cloning オプションIIにより、以前はファイルオンリーリカバリとカスタムスクリプト追加の手動操作がそれぞれ必要だったが、最新版ではDB管理者がコントロール可能になっており、バックアップ管理時間の削減を可能としている。

  • Oracle Advanced Cloning オプションIIの概要

    Oracle Advanced Cloning オプションIIの概要

新しいOracle用の「Recovery Validation(リカバリ検証)」機能で検証およびリカバリテストが可能となり、Oracleデータベースを確実にリカバリする。また、ダッシュボード上で最新のリカバリポイントをほぼリアルタイムに一覧で確認可能なほか、APIによりバックアップ整合性の確認を実施することができる。

クラウドへの拡張

クラウド保護の拡張ではGoogle Cloud Platform(GCP)への対応として、仮想マシンやファイルセットだけでなく、ルーブリックのSLAベースのポリシーを使用したGCP上のSAP HANAの自動検出とバックアップも含まれる。

クラウド・ネイティブなPolaris for Amazon RDSにより、複数のAWSアカウントや複数のリージョンにおけるRDSの一元的な保護や他のリージョンへのリカバリを可能としているほか、オンプレミス、AWS、Azure、Googleにまたがる包括的なハイブリッドクラウドでのVMware保護の対象に、VMware Cloud on AWSも追加。

  • RDSとGCPのクラウドネイティブ保護の概要

    RDSとGCPのクラウドネイティブ保護の概要

また、Microsoft 365の保護として、すでにMailboxとOnedriveは販売しているが、来年1月に現在はβ版であるSharePoint、Teamsの保護も一般提供の開始を予定している。

  • SharePoint、Teamsの保護も提供する

    SharePoint、Teamsの保護も提供する

クラウドコストの低減については、データの複数スレッドを同時に読み取り、アーカイブからのフルスナップショットのダウンロードを旧バージョンより3倍高速化しており、ディザスタリカバリと長期保管のための定期的なアーカイブ操作に関するコンピュートコストを削減。

さらに、AWS GlacierとGlacier Deep Archiveへの永久増分バックアップや、最もコールドなストレージクラスからでも同じワークフローで検索とリカバリを可能とし、S3 Standardと比較して最大23倍のコスト削減を実現しており、AWS向けのインスタント階層化を実現しているという。

  • アーカイブ速度向上とAWS向けのインスタント階層化によりコストを低減するという

    アーカイブ速度向上とAWS向けのインスタント階層化によりコストを低減するという

リスクの最小化

リスク最小化に関しては、ハイブリッド環境間でのバックアップと迅速なリカバリに加え、データ保護プラットフォーム「Polaris」上で動作し、脅威が加速する中でもユーザーがプロアクティブにデータ・リスクを低減できる製品を提供する。

企業におけるコンプライアンスの不備やデータ侵害のリスク低減を支援するために、エンタープライズ環境全体にわたる機密データを検出、分類、レポート化する「Polaris Sonar」の次回リリースでは、誰もがアクセスできる機密ファイルや一定期間アクセスのないファイルなど、高リスクな場所を可視化する機能の提供を予定している。

昨年リリースしたSonarは、組織の非構造化データの中に潜む、機密性の高い個人を特定できる情報(PII)を検出できるよう設計されており、現在では導入企業が600社に達し「Polaris Radar」とSonarアプリケーションの利用によりデータリスクを低減するという。

ルーブリック・ジャパン カントリー・マネージャーの石井晃一氏は「国内のお客さまの代表的な活用シーンはデータプロテクションとクラウドアーカイブの2つだ。データプロテクションについてはランサムウェアからの復旧やSaaSアプリケーションデータの管理、監査目的の利用がメインだった。また、クラウドアーカイブではデータの長期保管、クラウドDRへの初めの一歩として活用している」と述べていた。

  • ルーブリック・ジャパン カントリー・マネージャーの石井晃一氏

    ルーブリック・ジャパン カントリー・マネージャーの石井晃一氏