アステリアは12月2日、コロナ禍とニューノーマルな時代に対応する新しい働き方を推進するため、本社オフィス(品川区大井町)を半減することを発表した。また、カメラやセンサーによるAI・IoTを活用して、さまざまなオフィス管理の自動化・遠隔化を行うなど、スマートオフィスとしての取り組みも開始する。
テレワークで生産性が向上したアステリア
同社では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、2020年1月末から全社員対象のテレワーク推奨を実施しており、4月の緊急事態宣言から現在に至るまで9割以上のテレワーク実施率を継続しているという。
「半数以上の社員が、テレワークにより生産性が向上したことを実感している。業績も創業来最高の利益を出した」と、アステリア代表取締役社長の平野洋一郎氏は説明した。
同社はこのような背景の下、オフィスの1140平方メートルの半分以上にあたる約610平方メートルを退去することを決定した。「オフィス半減」は20年度以内には実行するといい、その結果、浮いた賃貸料約5000万円(年間当たり)は、従業員が自宅の就業環境をより良くするための施策に投資するとしている。
「全員がいつも働く場所ではなく、必要な人が必要に応じて集う場所こそが新しいオフィスのあり方だ」(平野氏)
そして、同社は12月2日、20年にわたるオフィスの利用に感謝の意を表し、祈祷式を実施した。祈祷式では、脱ハンコ推進により使用しなくなったために廃棄する予定の社内用ハンコに対してもお祓いをしていた。
AIやIoT活用のスマートオフィスを実現
一方、テレワークが常態化したことでほぼ無人となっているオフィスでは、同社が開発・販売するAI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio」が制御するIoTセンサーを約50個設置し、スマートオフィスを目指すとしている。
具体的には、CO2(二酸化炭素)センサーによる3密状態の自動検知と警告の発令、オフィス内の観葉植物への給水の自動化、AIカメラの画像認識技術を活用した社員の出社時の自動検知などを開始する。
すべての会議室には、CO2センサー、人感センサー、温湿度センサーを設置しており、オフィスにあるモニターや個人のスマートフォンなどで、利用状況や換気状況を確認できる。
オフィス内の観葉植物への給水の自動化に関しては、温湿度センサーと給水ポンプを「Gravio」で連携させており、「土壌付近の湿度が30%を下回ると、60秒間水を与え、その後に社員のデバイスに通知を行う」といった、ノーコードのプログラミングが可能だ。
そのほか、配達員がボタンを押すと、担当部署の従業員のデバイスに通知が送られる仕組みを施した郵便物受けとり口や、AIカメラの顔認識技術により社員を検知し通知を行うといった環境を構築している。
同社は今後、本社だけでなく、大阪や熊本の支社にもスマートオフィスの導入を進める方針だ。