パナソニック システムソリューションズ ジャパンは10月23日、放送局向けに作業場所にとらわれないコンテンツ制作を実現する番組制作システムを開発し、2021年4月より受注を開始すると発表した。

現在の放送局の番組制作では、複数の編集者が役割分担し、オフィスの編集室などに設置された編集システムで作業がおこなわれている。リモートでの編集作業を可能にするためには、システムのクラウド化などが考えられるが、撮影素材を可能な限り社内環境で管理したいという意見や、放送時間までに作業を完了するスピード感の実現、局内にある撮影素材の速やかな編集業務の開始・終了、放送局独自の素材管理システムや報道支援システムなどとのスムーズな連携の実現、という業界ならではの課題をかかえているという。

  • 同システム イメージ図

同システムは、素材管理システム(MAM=Media Asset Management)アプリケーションを含めた仮想環境を構築し、局内環境と同等の編集作業をリモートアクセスで実現するという。また、2段階認証などセキュアなリモートアクセスによる安全性と、放送局独自システムとの連携を両立し、編集後すぐにオンエアすることが可能だ。さらに、撮影素材は全て局内のシステム上に保存されているデータを活用しており、素材流出のリスクの削減につながるとしている。

  • 実証実験の様子 記者用PCを使用してリモート編集し、リモート先からオンエア書き出しまでを実現

なお同社は、同システムの有効性を検証する実証実験を東海テレビと実施した結果、クラウドを利用したニュース映像制作の編集テストと比較し、素材の検索とアップロードに関わる作業時間が最大80%減少したほか、編集後の作業についてもオンエアに関わる取込み作業など、局内システムと変わらないワークフローで実現できることを確認したという。