東芝は10月15日、健康診断データ、問診データ(生活習慣)、レセプト情報(受診医療機関、傷病名、投薬、治療の情報など)の解析により、生活習慣病発症リスクを低減するソリューション提案AI(特許出願中)を開発したと発表した。

同社グループは、産業分野で培ったAI・ビッグデータ解析技術を応用して生活習慣病の発症リスク予測AIを2018年10月に開発し、2020年7月からサービスの提供を開始している。発症リスク予測AIにより、将来病気になる可能性を可視化し、自身の健康や生活習慣を見直す機会の提供を進める中で、「具体的な改善提案が欲しい」、「どの生活習慣を改善したらいいかわからない」という多くの声が上がったという。そこで同社は、保健指導の場でも指標として使われる「体重」に注目し、生活習慣病の発症リスクを低減する改善ソリューション提案AIの開発に至った。

生活習慣病リスク予測、リスク低減シミュレーション活用の流れ

改善ソリューション提案AIは、各疾患のリスクを下げるための体重減少目標と、体重減少を達成するための生活習慣の改善ソリューションを、数十万人分のデータに基づいて学習したAIが提案する。

具体的には、直近1回分の健康診断結果を入力すると、生活習慣病発症リスク予測AIにより5年先までの発症リスクが数値で提示され、その結果をもとに、体重減少目標もしくは疾患リスク低減目標を入力すると、今回開発したAIがシミュレーションを行い、各目標を達成するための生活習慣改善ソリューションを提案する。

例えば、「3kg体重が減少すれば各疾患のリスクがどの程度低下するのか」がシミュレーション結果として提示される。また、「ある疾患のリスクを10%下げるためには体重をどの程度減らせばよいのか」といったシミュレーションも可能だ。

  • シミュレーション結果の画面例

  • 生活習慣改善ソリューションの提案画面例

どちらの場合でも、目標を達成するために必要な生活習慣の改善ソリューションがAIによって提案され、予め変えたくない生活習慣項目を固定することもできるため、本人の生活リズムや価値観を尊重したシミュレーションが可能で、医師や保健師との面談の場でのコミュニケーションツールとしての活用も期待できるとしている。

同社は今後、ヘルスケア関連企業をはじめとするパートナー企業と共同で、食事や運動の改善メニューなどの生活習慣改善策を開発して実証実験を行い、2021年4月のサービス化を目指す方針だ。