日立製作所は10月8日、企業や組織の理念、ビジョン、施策など、さまざまなメッセージへの共感度合いを分析し、従業員エンゲージメント向上を促す「共感モニタリングサービス」の提供を開始した。価格は個別見積もり。
新サービスは、マーケティング・ブランド論・消費者心理学などを専門とする一橋大学大学院 阿久津研究室と共同で開発し、マーケティングなどで使われる調査手法を応用した独自のサーベイ・分析手法を用いて、メッセージ性を持った文書や動画、セミナーなどに対する受け手の共感度合いとその背景にある原因構造を可視化・分析し、改善に向けた施策立案までをトータルでサポートする。
インターナルブランディングへの活用に加え、企業が社外に発信するコンテンツや商品ブランドイメージへの共感度合いの分析など、マーケティングやブランド戦略に向けたサーベイにおいて活用することで、商品・サービスのブランド力や価値の向上にも寄与するという。
新サービスは「共感度合い可視化サービス」と「改善施策コンサルティングサービス」の2つで構成。共感度合い可視化サービスは、従業員がどのか所をどう感じたかをタグ付けしたデータを取得し、メッセージの「どこ」が「どのように」受け止められているのか、組織や職位別での傾向などを可視化・相関分析し、現状の認識・課題の洗い出しを行うことができるサーベイ環境を提供する。
定型質問による点数評価を行う一般的なサーベイの場合、企業ごとの特徴に応じてサーベイを個別に設計することに時間を要するほか、結果の解釈や具体的なアクションの検討、改善につなげることが難しいなどの課題があるが、同サービスでは個別のサーベイ設計をすることなく、企業理念に関するブランドブックやトップメッセージなどテキスト資料のほか、動画コンテンツやオンラインでのセミナーそのものをサーベイシートとし、すぐに調査を開始して素早く結果を得ることを可能としている。
これにより、従業員にどう感じてほしいかの期待値と実際の受け止められ方とのギャップや、職位・属性別の捉え方の傾向などを把握でき、客観的なデータに基づいた改善・対策につなげられるほか、テレワーク環境下での発信においてもリアルタイムに聴講者の反応を把握できるため、オンラインでの双方向のコミュニケーションを実現するツールの1つとしても役立つという。
改善施策コンサルティングサービスは、共感度合い可視化サービスで収集したサーベイデータをコンサルタントが詳細に分析し、改善施策を提案する。「グラウンデッド・セオリー・アプローチ」と呼ばれる質的調査手法を応用した、独自の手法と専用の分析ツールを用いて、従業員の受け止め方の背景にある原因(周辺環境・価値観・行動様式など)をデータに基づいて仮説化し、構造的に可視化することができる。
発信内容・発信方法の見直しにとどまらず、課題に合わせて従業員の行動・実践につなげていくための、本質的な組織変革の施策検討に生かすことができることに加え、企業のインターナルブランディングの支援において実績がある日経BPコンサルティングと協力し、サーベイを用いたコンサルティングを提供する。
日立は新サービスの提供に先立ち、赤ちゃん本舗と日経BPコンサルティングのインターナルブランディング強化に向けた従業員向けサーベイにおいて、サービスの先行検証を実施。両社ともに、会社や組織の掲げるビジョンや目指す姿に対する従業員の共感度を確認できたとともに、想定していなかった回答傾向が見られるなど、現状の実態把握や課題抽出に寄与することを確認。
なお、日経BPコンサルティングは今回提供開始する改善施策コンサルティングサービスの専門コンサルタントとして連携するほか、同社が展開するさまざまなデジタルコンテンツの評価・改善にサービスを適用するなど、企業における継続的な従業員エンゲージメント向上に向けて相互に協力していく考えだ。