住友商事は10月5日、農業関連物流マッチングサービス「CLOW」(クロウ)の本格事業化に向け、実証実験を開始した。

現在の日本の農業関連物流は、各農家が自ら農産物を集荷場や卸売市場に持ち込む、農業法人各社が大消費地への輸送を個別に手配しているなど、依然として改善の余地が大きい一方で、高齢化に起因する人手不足が深刻になると言われて久しく、今後のより効率的な物流システムの実現が求められている。

CLOWは、AIを用いて農作物を出荷したい農家や効率的に輸送したい農業法人と輸送スペースを有効活用したい物流会社をマッチングし、最適な輸送ルートを提案するサービス。

  • CLOWのサービスフロー

    CLOWのサービスフロー

多数の農家や農業法人のニーズとトラックの空車状況をクラウドに集約し、効率的な集荷・配送ルートをアルゴリズムにより自動的に設定することで、これまで自家用トラックで運ばざるを得なかった農家に新たな物流の外注手段を、個別に物流を手配していた農業法人に共同配送による安価な物流システムを、また物流会社には新たなビジネスチャンスをそれぞれ提供するという。

実証実験は、協力先である東三温室園芸農業協同組合(愛知県豊川市)から提供される過去の農作物出荷データをもとに、CLOWが設定した集荷・配送ルートの効率性を日本通運の協力を得て精査する。CLOWのアルゴリズムの蓋然性を検証し、同時にアプリケーションの操作性などについてヒアリングを重ねることで、今年度中のCLOWの市場への試験導入を目指す。

  • 開発中のプロトタイプ/サービス画面例

    開発中のプロトタイプ/サービス画面例

また、京都府京丹後市においても、丹後王国ブルワリーの協力のもと、同様の実証実験を行う予定。CLOWは、同社の社内起業制度「0→1チャレンジ2019(ゼロワンチャレンジ2019)」にて、新規ビジネスの優れたアイデアとして選出された20代社員発案の案件。同社は、CLOWを通じて農業関連物流を効率化することで、農業・物流業界の課題を解決し、豊かな超高齢社会、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。