皆さんが普段、よく目にしている「ネイティブ広告(ネイティブアド)」。ネイティブ広告と一言でいっても、そこにはかなり幅広いフォーマットが含まれており、詳細を理解している人は少ないことでしょう。「タイアップ記事」とも混同している方もいるかもしれません。
そこで、本稿ではネイティブ広告の定義について整理し、ネイティブ広告に含まれる広告フォーマット6種類について解説します。また、ネイティブ広告を利用する際のメリットとデメリットについてもまとめました。
ネイティブ広告(ネイティブアド)とは?
ネイティブ広告とは、ユーザーがインターネット上の情報を利用する際、利用体験を妨げないよう工夫されている広告全般を指します。ネイティブ広告の詳しい特徴や、ネイティブ広告が生まれた背景について解説します。
ユーザーの情報利用体験を妨げないWeb広告全般
ネイティブ広告は、掲載されているWebサイトと一体化していて、ユーザーの楽しみや体験を妨げず、スムーズな形で届けられる広告のこと。今日のインターネットで数多く見られるタイプの広告です。
例えば、TwitterのようなSNS広告では、通常の投稿と同じような形で広告が流れてきますよね。Webメディアに掲載される記事広告も、ネイティブ広告の一形態です。
また、検索エンジンを利用したときの結果一覧リスト中に表示される「リスティング」広告も、ネイティブ広告の一つとなります。
ネイティブ広告が生まれた背景
インターネット上でWeb広告出現してからしばらくは、Webサイトの広告枠や、表示ページの上にダイアログを表示する形の広告タイプが主流でした。バナー広告などがその一例です。
しかし、このタイプの広告は、「売り込みが強すぎる」「見ているメディアと関連性が薄い」といった、情報利用体験の妨げになり、ユーザーから嫌われてしまいます。結果として、広告を無視するユーザーが増えてしまい、広告を出す意味が薄まりつつありました。
広告が嫌われる状況下で、ユーザーのインターネット体験を妨げずに、スムーズな形での広告が模索されました。それが、ネイティブ広告というわけです。
ネイティブ広告の条件
ネイティブ広告となる条件は、単にデザインをWebサイトに近づけるだけではありません。一般に、ネイティブ広告と見なされる条件は以下の通りです。以下の条件を満たすことで、ネイティブ広告と見なされます。
条件 | 内容 |
---|---|
デザイン | 掲載サイト本体の記事と同じデザインであること |
機能 | ネイティブ広告のページは他の本体記事と同じ機能を持っていること |
広告表示方法 | 掲載サイトの周囲と同じ表示になっているか (目立っていないか) |
配信方法 | 掲載サイトの全ページを占有せず、一部分への配信となっているか |
効果測定 | 効果はエンゲージメント(シェア、閲覧時間)で計測されているか |
PR表記 | ユーザーがひと目で見て広告とわかるように、PR表記をしているか |
ネイティブ広告とタイアップ記事の違い
混同されがちですが、ネイティブ広告とタイアップ記事は、それぞれ別物です。両者の違いについて解説します。
ネイティブ広告は広告の概念
ネイティブ広告は、特定のフォーマットを指すのではなく、いわば広告の概念のひとつです。ネイティブ広告という概念を表現する際のフォーマットとして、SNS広告や記事広告、インフォ―ルド広告があります。
タイアップ記事はネイティブ広告の1フォーマット
タイアップ記事は、記事広告のことであり、ネイティブ広告におけるフォーマットのひとつです。ネイティブ広告の方が、より広い範囲の広告を指していると考えるといいでしょう。
ネイティブ広告のフォーマット6種類
ネイティブ広告には、6つのフォーマットがあります。以下、それぞれの特徴について、簡単に説明します。
インフィード広告型
Webサイトのコンテンツとコンテンツの間に入れ込むタイプの広告です。FacebookやTwitterのようなSNSのほか、通常のWebメディアでも多く見られるようになりました。
インフィード広告型には、クリック時の動作によってさらに3タイプに分かれます。クリックして媒体内の別ページに移動する「媒体内誘導型」、リックすると外部コンテンツに移動する「外部コンテンツ誘導型」、クリックしてそのフィード内に広告を表示する「フィード内表示型」です。
レコメンドウィジェット型
通常は画面下部に配置されるレコメンドウィジェット内に、ユーザーの属性を判断するレコメンド配信サービスを利用した広告を配信するフォーマットです。ユーザーの特長を踏まえた広告配信が可能ですが、画面下部に位置しているため広告宣伝効果は少々低くなります。
ペイドサーチ型(検索連動型)
GoogleやYahoo知恵袋のように、検索結果画面の中に広告行が混じって表示される形式の広告です。ただし、LPのように通常検索してたどり着くトップページと違う宣伝用ページに遷移する場合、厳密にはネイティブ広告ではありません。広告表示方法の条件に反するためです。
プロモートリスティング型
楽天や食べログといった情報サイトで多く見られるネイティブ広告です。プロモートリスティング型は、検索結果の上部に、広告主の情報行を表示します。
ネイティブ要素を持つインアド型
ディスプレイ広告の中で、コンテンツ型の広告を表示するタイプは、ネイティブ広告と判断されるケースもあります。
カスタム型(その他)
ここまで説明した分類に属さないフォーマット。具体例として、企業が作成・販売するLINEスタンプがこれにあたります。
ネイティブ広告のメリット
さて、ネイティブ広告の種類についての説明が終わりました。次に、ネイティブ広告のメリットを3点にまとめて解説します。
ユーザー体験を損なわないためCV率が高い
ネイティブ広告の最大のメリットは、ユーザー体験を損なわないため、CV(コンバージョン)率が比較的高い点にあります。ユーザーは、自らで進んで広告に触れに行っているため、広告に対して感情を害することもなく、広告内容を受け入れやすいという特徴があります。
潜在層にもアピールできる
また、ネイティブ広告は、これまでまったく接点のなかったユーザー層へもアピールできるという特徴を持ちます。
記事広告の場合は、掲載メディアとターゲット層が被る商品やサービスを紹介すると、ユーザーも興味を持って記事を確認します。検索連動型の場合は、興味を持って検索した結果の一つでもあるため、クリック率向上が見込めるでしょう。
良いタイアップ記事ならSNSでの拡散も
さらに、ネイティブ広告は、SNSでの拡散も期待できます。記事には、SNSへのシェアやリツイート用ボタンがついているため、SNSで拡散しやすい環境です。また、SNS広告は、そのままリツイートやシェアをしやすく、爆発的な広告効果が出る可能性もあります。
ネイティブ広告のデメリット
いいところばかりのように思えるネイティブ広告ですが、弱点も存在します。
「広告」と明示しないとステマと誤解される恐れ
「ステマ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。広告なのに「PR」表記をせずに商品やサービスの宣伝をすることを、ステルスマーケティングと言います。
広告記事であるにも関わらず、それを伏せて出していることに気づいたユーザーは、その広告に対してマイナスの感情を抱き、炎上騒ぎに発展することも少なくありません。
特にネイティブ広告は、掲載メディアに溶け込んでいるだけに、PR表記は忘れず行うよう注意する必要があります。
広告内容をメディアと違和感なく揃えるのが手間
ネイティブ広告を掲出する際には、掲載メディアとテイストを合わせなくてはなりません。デザインだけでなく、記事広告なら文調も合わせる必要があります。この手間は意外と大きく、掲載メディアに協力を仰ぐにしても、綿密な打ち合わせや検収の工数が必要です。
ネイティブ広告の定義を正しく理解して活用しよう
ネイティブ広告は、かつて不評だったバナー広告やダイアログ広告に代わって台頭してきた広告の概念です。できるだけ、ユーザーのインターネット体験を妨げないよう配慮された広告であり、記事広告や検索連動型といったさまざまなフォーマットが登場しております。
今後、自社のWeb広告を検討するときには、ネイティブ広告を検討しましょう。その際には、ネイティブ広告の基本的な条件を確認し、どのフォーマットを選ぶかまでじっくりと検討して、効果的な広告を出すことをおすすめします。