米国で話題を呼んでいる体験型ストア「b8ta(ベータ)」が2020年8月1日、いよいよ日本に初上陸し、2店舗同時オープンする。場所は、新宿マルイ本館1階(b8ta Tokyo Shinjuku Marui)と有楽町電気ビル1階(b8ta Tokyo Yurakucho)。オープンに伴い、ベータ・ジャパン(以下、ベータ)は7月27日、報道関係者向けに有楽町店の内覧会を開催したので、その様子をお届けしたい。

  • Shinjuku Marui店 撮影:マイナビニュース

    Shinjuku Marui店

  • Yurakucho店 撮影:マイナビニュース

    Yurakucho店

ベータのビジネスモデルRaaSとは

ベータのビジネスモデルはRaaS(Retail as a Service:サービスとしての小売り)だ。具体的には、店内を区画ごとに仕切り、製品の展示スペースとしてさまざまな企業に月額料金で提供するサブスクリプション型のサービスとなる。出品料は月額約30万円/区画で、最低契約期間は6カ月間としている。

ベータ・ジャパン カントリー・マネージャーの北川卓司氏は「ベータに企業が製品を出展するメリットは、ブランド体験コストの最小化やブランドの世界観を維持した売り場づくり、オフライン店舗のデータを活用したマーケティングが可能になること。『体験』を重視し、販売を主目的としない『新たな発見の場』として店舗を展開していきたい」と述べた。

  • ベータ・ジャパン カントリー・マネージャー 北川卓司氏 撮影:マイナビニュース

    ベータ・ジャパン カントリー・マネージャー 北川卓司氏

製品を出展する企業は、40㎝×60㎝区画のスペースに、製品と製品の詳細情報を閲覧することができるタブレットを展示可能だ。利用者はさまざまな製品やサービスをベータで体験することができ、気に入った製品があれば、タブレット画面の「Buy Now」タブを押すことで、その場で購入手続きを行える。

  • ベータの区画のイメージ。タブでは、自社の連絡先など、もっと詳しく記載することが可能 撮影:マイナビニュース

    ベータの区画のイメージ。タブでは、自社の連絡先など、もっと詳しく記載することが可能

また、中規模の区画に仕切られた半個室のスペース「エクスペリエンスルーム」にも出品することも可能だ。エクスペリエンスルームでは、他の出品スペースとは異なり、ブランドが独自に壁面装飾や什器等を設置することが可能で、ブランドの世界観を体現した空間づくりができる。

  • Googleのエクスペリエンスルーム 撮影:マイナビニュース

    Googleのエクスペリエンスルーム

  • 中央にあるロゴアートは肉眼で見るよりスマホカメラの方が鮮やかに写る

さらに、店舗運営に必要な従業員の手配、店舗スタッフへのトレーニングやシフト管理、在庫管理、物流サポート、POSはすべて付帯サービスとして月額出品料金に含まれており、店内に設置された複数のAIカメラ・デモグラフィックカメラと、商品横に設置されたタブレットから収集したマーケティングデータはすべて出展企業に提供される。出品者にはダッシュボードへのアクセス権が付与され、通常企画から出品、運用開始まで約 4 週間で実現できるという。

  • ダッシュボードで確認できるデータ例

    ダッシュボードで確認できるデータ例

一方で、ベータでは販売を主目的にしない接客を実現するため、スタッフへの育成に注力している。例えば、ブランドからの直接指導や、独学可能なオンラインシステムの構築、製品のスペックからではなくミッションからの理解などを行っている。入店時のあいさつは「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」を浸透させており、利用客が気軽に製品を体験できる環境を目指している。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止についても、店内でのマスク着用・アルコール消毒の徹底、AIカメラを利用した来店客数管理、ベータ公式LINEによる緊急時の連絡など、さまざまな対策を行っていくとのこと。

ベータの第1号店は、2015年に米サンフランシスコのパロアルトでオーブンした。現在では24店舗(米国で23店舗、ドバイに1店舗)を展開し、1000以上のブランドがベータに出品しているという。今回日本に初上陸した背景としては、日本人のサービスに対する感度が高く、サンフランシスコの店舗に多く来店していたことや、出資企業が見つかったことがあるそうだ。共同出資者は、丸井、三菱地所、カインズ、凸版印刷の4社。

丸井 代表取締役社長の青野真博氏は「新型コロナの影響やECプラットフォームの普及により、リアル店舗での小売は難しくなってきている。これからの小売りで重要なのは『体験』を提供すること。ベータのプラットフォームを利用することで、革新的な製品やサービスが生まれやすくなる。ベータとともに新しい小売りの姿を創造していきたい」とコメントした。

  • 丸井 代表取締役社長 青野真博氏

    丸井 代表取締役社長 青野真博氏

北川氏は「まずは、企業や利用者からさまざまなフィードバックを受け、改善点があるならそこに注力し、今回オープンする2店舗の足元をしっかり固めたい。今後は、都市型の店舗を拡大し、企業とのコラボ店舗なども展開してきたい」と、今後の展望を語った。

どのような製品が展示されているのか?一部紹介

以下では、筆者がベータ有楽町店にて個人的に気になった製品を一部紹介する。

LOVOT(ラボット)

  • 「LOVOT」触ると生きているかのように暖かい 撮影:マイナビニュース

    「LOVOT」触ると生きているかのように暖かい

「LOVOT」は、人や物を判別するセンサーホーンと自在に動き回るローラー型の足を持つ、自立型のロボット。30以上ものセンサーを搭載しており、触り方ひとつでさまざまな愛らしい反応を示してくれる。

  • 抱っこすると汚れないようにローラー型の足を引っ込める。眠たそう…… 撮影:マイナビニュース

    抱っこすると手や服が汚れないようにローラー型の足を引っ込める。眠たそう……

コロナ禍で在宅勤務が増えてきたこともあり、「LOVOT」の売上は緊急事態宣言前と比較して5,6倍増えたという。

  • ベータ有楽町店の週末店長に就任

    ベータ有楽町店の週末店長に就任

オーダーメイドジーンズ

  • STAMP(スタンプ)によるオーダーメイドジーンズシステム

    STAMP(スタンプ)によるオーダーメイドジーンズシステム

D2Cブランド「STAMP(スタンプ)」によるオーダーメイドジーンズも出店している。「STAMP」の区画は完全無人で、その場で3Dスキャナーによって採寸し、後日ネットで注文する。事前に公式LINEで採寸の予約をし、発行されたパスワードを入力することで利用することが可能。

ジーンズの内側にはクリーナー素材でできているスマートフォン専用ポケットがあり、スマートフォンを収納しているだけで画面の汚れを取り除くという。ベータスタッフの制服もこのジーンズを採用している。

  • スタッフの制服にも採用。スキニーやテーパードなどさまざまな形を作成できる

    スタッフの制服にも採用。スキニーやテーパードなどさまざまな形を作成できる

Meural Canvas II

  • Meural Canvas II

    Meural Canvas II

ジェスチャーやスマートフォンなどのアプリから作品を切り替えることができるスマートアートキャンパス。世界中の有名な絵画から近代アート、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した思い出の写真など表示でき、非接触による手の上下左右の動作で、作品の切り替えだけでなく、その作品の詳細なども確認することが可能だ。

手ぶらエコバック「less is」

  • 手ぶらエコバック 「less is」

    手ぶらエコバック 「less is」

ポケットに収納できるほど小さく折りたためるエコバック。軽量・高耐久・耐水・通気性を兼ね備えた素材「タイベック」を採用しており、見かけによらず頑丈だ。

  • 折りたたみ口に磁石を内蔵しており、簡単に折りたたむことができる

    折りたたみ口に磁石を内蔵しており、簡単に折りたたむことができる

昨今のレジ袋有料が進んでいるなか、手ぶらで持参できるマイバックは魅力的だ。

有楽町店には100を超える製品が展示されており、実際に訪れてみたが、どれも普段体験することのない製品ばかりで刺激的であり、あっという間に時間が過ぎた。新宿店にも80を超える製品があり、ファミリー層向けの品ぞろえが豊富だという。

一歩先の未来を体感したい方は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。

営業時間については以下の通り。

新宿マルイ店(b8ta Tokyo Shinjuku Marui):11:00~21:00(年中無休 ※コロナの影響で変更の可能性あり)
有楽町店(b8ta Tokyo Yurakucho):11:00~19:30(不定休)