世界各地で新型コロナウイルス感染症の第二波への警戒や備えが行われている。ロックダウンは解除されても、自主的に在宅勤務を原則とする企業も少なくない。そのためには、環境の整備が求められる。Dropboxの企業ブログでは、物理と精神の両方での課題を取り上げている。

新型コロナで一気に広がったテレワーク。同時に、単身世帯を中心に、自宅に高速で信頼性の高いネットワーク環境が整備されていないところがあったことが話題となった。もちろん、長時間仕事ができる椅子やモニターの需要も高かったようだ。それぞれが足りない備品やツールを揃えてウィズコロナでの業務継続に向けて対策を討っていることが窺える。

日本では、回線が手に入らないという声はほとんどなかったようだ。背景として、日本は都市部ではなくてもブロードバンドと無線ネットワークが張り巡らされていることがある。総務省のデータによると2015年時点で超高速ブロードバンド利用可能世帯率は99.98%。ほとんどの人は契約さえすれば、リモート会議に耐えうる通信環境が手に入るということになる。

米国ではそうはいかないようだ。Dropboxのブログ「The digital divide threatens the future of distributed work」によると、ウィスコンシン州のJeff Smith上院議員は、「妻と同時にオンラインを使えない」とこぼしながら、デジタルデバイドは「機会のデバイド」を招いていると述べている。ブログでは、Pew Researchの数字として、2019年都市部とその近郊エリアにおける世帯のブロードバンド導入率はそれぞれ79%と74%であるのに対し、地方では63%に止まるという。たしかにこれでは一律にテレワークというわけにもいかないはずだ。米国では改めて地方にブロードバンドを引き込む動きが広がっているという。コロナを受けて急速に広がる分散環境を実現するためには、ブロードバンドの地域差改善が重要だと主張している。

IT大国である米国が?と意外に思ってしまうが、日本のブロードバンドのインフラが浸透していることはウィズコロナのテレワークにとっては利点なのだと考えることもできる。次なる波に備えて、個々がツールを磨いておくことが求められる。テレワークグッズなどで検索すると自宅に設置できるガジェットやツールからアプリまで情報は山ほどある。よく考えて、改善できるものを備えよう。

筆者はレッツノートとメモリと伸縮自在のドライバーを購入し、さらなるハードウェアを備えた。ノートPCは複数台を現役で使用しているが、極めて微妙な用途が異なる。ソフトウェア環境も衝突しがちなので、新たなマシンには、それこそDropboxもひとつの共有ツールに据えている。Dropboxの左サイドにも「ツール」が備わるが、Dropbox Paperは一つのドキュメントを起点に「@」でユーザーを選択し、タスクの割り振りからカレンダー、動画の共有とリアルにシームレス。自身のちょっとしたアイデアメモからどんどんと広げられるため、テキスト主体のマインドマップの役割を与えている。また、昨年ローンチしている100MB容量までは無料で誰にでも数クリックでファイル共有リンクを送ることができるDropbox Transferも便利な機能だ。

  • Dropbox Paperの画面。表からタスクとノート感覚で書き込んでYoutubeをはじめ動画や他サービスも連携も心地よいもの。@を入力すると連携ユーザが表示されるので簡単に共有できる

    Dropbox Paperの画面。表からタスクとノート感覚で書き込んでYoutubeをはじめ動画や他サービスも連携も心地よいもの。@を入力すると連携ユーザが表示されるので簡単に共有できる

さて、別の記事「The ideal home office sanctuary, according to science」では、テレワークによる孤独感などストレスをテーマにしている。ソーシャルディスタンスはもちろんのこと、外出も控えざるを得ないコロナ禍で、人々の生活は必然的にインドアになる。記事によると、このような社会生活の欠如は動揺、混乱、うつを招きかねないことを刑務所で行われた調査と例に紹介している。

受刑者は孤独を感じることが多いが、45分間の"自然の動画"を見せることで自分もそこにいることをシミュレーションするようになる。これが良い効果をもたらしていることがわかったのだという。80%が心の静けさに貢献したと回答しており、動画を見なかったグループと比較すると攻撃的な感情に傾倒する人が26%少なかったとのことだ。経験的にたしかにと思う人も多いのではないだろうか。

映画やテレビで広大な自然のシーンが流れると考えることなくしばしの間、目を奪われることがある。このようなことから、外出が難しい状況でもベランダで日光浴、あるいは窓側で日光を感じることが有効だとしている。定期的に外を見るようにリマインドを設定するといいかもしれない。「自然の中にいることで、人間はより世界とつながっていると感じる」という専門家の意見を紹介している。

筆者もYoutubeでソロキャンプやフライフィッシングの動画を空いた時間によく見ていたが、煮詰まった時のマインドセットの切り替えには最適だ。良さそうな自然あふれる動画や映画をストックしておいて意識的にスケジュールに組み込むのも良いだろう。バッチファイル(メモ帳やテキストエディタで●●.batのファイル名で保存)を作成し、Windowsのタスクスケジューラに読み込ませるだけで定期的に指定した時間にブラウザが起動し、指定したWebサイトを開く。Youtubeの場合

 start https://www.youtube.com/feed/library

とライブラリを参照させておけば、「後で見る」に登録しておいた動画まであっという間だ。ガジェット、アイデアを工夫することで、ウィズコロナを乗り切りたいものだと思う次第である。