NECは7月22日、公益財団法人鉄道総合技術研究所が開発した線路周辺画像解析エンジンの活用により、鉄道の沿線検査業務を支援する「列車巡視支援システム」を実用化したと発表した。鉄道業界において、営業車で撮影した映像に画像解析を適用し、支障物を自動検知することによる列車巡視業務の効率化の実用化は国内初だという。

  • 列車巡視支援システム 構成例

同システムは、車上に設置するカメラやGPS、ネットワーク機器のほか、解析サーバや映像を配信する表示サーバなどのICT機器の提供に加え、導入に必要な設計・構築まで同社が一貫して提供を行う。

営業列車の車両先頭に設置したステレオカメラを用いて、走行時に撮影した線路の沿線環境の映像を解析し建築限界の支障有無を自動で判定可能な画像解析を活用しており、従来職員が目視で行っていた巡視業務をサポートし、効率的なメンテナンスが可能になるという。

  • 車両搭載状態

  • 建築解析結果(イメージ)

また巡視点検日時をあらかじめ指定すると、無線ネットワークを通じて自動的に路線映像を取得・解析し、支障を検知した場所の画像を自動整理、レポート作成が可能。これにより、これまで職員が目視確認後に手入力で行っていたレポート作成作業を削減することにつながるとしている。

なお、同システムは、先行してJR九州が運用する811系近郊型電車の2編成を対象に2020年4月から運用開始しており、他の車両にも拡張を予定しているという。