昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くの大学での講義はオンライン形式となっている。またアルバイトの雇用が激減し、多くの学生が生活に困窮しているのが現状だ。
そこでインターネットメディア事業を展開するキュービックは、6月1日より学生インターンに対しオンライン授業を受講する環境として、オフィスの一部を開放している。
オンライン授業による、学生インターンの時間的・金銭的負担
今回の取り組みのきっかけは、学生インターンからの相談であった。新型コロナウイルスの影響で、大学がオンライン形式の授業に切り替わったが、自宅に十分な通信環境がなく、整えるにしても金銭的な負担がかかってしまい、彼らは頭を抱えていたという。
キュービック学生インターンの豊島里香さんは「授業がオンライン化しただけでなく、期末試験がなくなり、授業の回数自体も減り、その分課題が増えました。また、オンライン授業のために会社から自宅やカフェへの移動が必要で、時間的な負担を感じていました」と語った。
そこで、豊島さんは同社の経営陣に「オフィスでオンライン授業を受けることは可能ですか」と相談したところ、翌日には承諾してもらえたという。緊急事態宣言解除後の初出社から導入されたとのこと。
現在、同社の学生インターンは約100名いるが、十分なスペースは確保できているため物理的な問題はないという。また会社のインターネット回線を利用するため、彼らは通信費を負担しなくて済む。
さらにオンライン授業のためにわざわざ移動する時間も省けるので、その分勤務時間を延ばすことができ学業と就業の両立が効率的に行えるようになったという。
キュービックにとってのメリット
キュービック ピープルエクスペリエンスオフィス(人事部)新卒採用担当の荒木珠里亜氏は「勤務時間が短い学生インターンには、どうしても裁量の大きい仕事を任せづらくなります。しかし今回の取り組みで、学生インターンの勤務時間が増え、裁量の大きな仕事を思いきって任せられるようになりました」と語った。今回の取り組みは、結果として、学生だけでなく同社にとってもメリットがあったようだ。
「オフィスで授業を受講できるようになり、大学でマーケティングや経営など本業とも親和性の高い分野を学んでいる学生は、授業でのインプットを素早く仕事でアウトプットすることができるようになりました。それに伴いPDCAも迅速に回すことができるようになり、学生インターンの成長スピードが上がりました。インターンの成長は事業や会社全体の成長に直結すると考えています」(荒木氏)
一方で同社では緊急事態宣言解除後は、インターン生を含めた全社員が原則出社する勤務形態となっており、学生インターンの中には両親の方針や家庭の事情などで出社時期を見合わせているメンバーもいるという。
荒木氏は、「キュービックでは、対面でのコミュニケーションを大切にしている組織文化があり、緊急事態宣言解除後においては、基本的に全社員出社型の勤務形態をとっています。一方、現在は働き方のアップデートに向けて、着々と準備を進めているところです。当社で働くメンバー全員が、自身の持つ力を最大限発揮し、いきいきと働ける環境を整えていきたいです」としている。