Dell Technologiesは、昨年のプライべートイベント「Dell Technologies World 2019」で「Dell Technologies Cloud」を発表した。
「Dell Technologies Cloud」は、「VMware Cloud Foundation」(VCF)環境を拡大し、VMwareの管理ツールを使って、エッジ、オンプレミス、クラウド上の各VCF環境を一元的に管理し、一貫性のあるオペレーションが行えることを目指している。オンプレミスで実績のあるVMware環境をクラウドにも拡大していこうという戦略だ。
昨年6月の発表会でDell Technologies(EMCジャパン)アドバンスドテクノロジーソリューションズ事業部 クラウドプラットフォームスペシャリスト(当時) 吉田尚壮氏は、「ユーザーの多くは、AzureやAWS、GCPなどのパブリッククラウドを利用しているが、それぞれのクラウドでAPIの使い方が異なり、GUIの作法も違う。そのため、複数のクラウドを利用する場合は、それぞれの作法を学ばなければならない。そこに不安を覚えている。VMwareが提唱しているハイブリッドクラウドは、オンプレミスとパブリッククラウド間で一貫性のあるインフラ、オペレーションを提供する事で、容易にクラウドを使える世界を目指している」と語っている。
VCFを組み込んだハイパーコンバージドインフラ(HCI)やData Center-as-a-Serviceサービスとして「VMware Cloud on Dell EMC(Project Dimension)」などがすでに提供されている。
6月3日のプレスラウンドテーブルでは、Dell Technologies アジア太平洋地域・日本(APJ)担当 プリセールス バイスプレジデント ダニー エルマージ氏が、Dell Technologies Cloudの最新の状況を説明した。
同氏はDell Technologies Cloudのメリットについて、「現在企業が競合他社に対しての優位性を発揮するためにやっていることは、ソフトウェアの価値を高めることと、データからインテリジェンスを得て顧客のために活用していくという2つだ。これらはマルチクラウド上で展開することで柔軟性が生まれ、さらなる変革を成し遂げることができる。顧客の92%がオンプレミスのデータセンターを含めたクラウド戦略を採用ており、パブリッククラウドか、プライベートクラウドかという2者択一ではなく、今後は併用していくことが求められている。また、パブリッククラウドも2つ以上利用していくことが求められてくる。ただ、クラウドによって提供しているサービスが異なり、サービスレベルも違う。そのため、パブリッククラウドを変更する場合には、移行に多くの工数が取られ、新たなスキルも身に着けなければならない。Dell Technologies Cloudであれば、プラベートクラウド、パブリッククラウド、エッジクラウドのいずれにおいて、一貫したクラウド体験、管理を提供できる」と語り、今後のビジネスはマルチクラウド環境で行うでべきだと主張した。
そして、「われわれの戦略はプライベートクラウドだけでなく、パブリッククラウド、エッジクラウドにも展開することだ」と語った。
同氏はDell Technologies Cloudの付加価値を出すために提供するサービスとして、Cloud Data Protection、Cloud Storage Services、Cloud Solutions、Cloud Consumption、Cloud Servicesの5つを挙げた。
Cloud Data Protectionでは、DRサービス、バックアップ、アーカイブなどを提供し、、すでに1000社のユーザーおり、対象のデータ容量は3エクサバイトに達しているという。
Cloud Storage Servicesのち、「Isilon OneFS for GCP」は米国で5月20日にリリースされたGoogleが提供するサービスで、Dell Technologiesは同社に対してストレージを提供する。現在、米国、オーストラリア・ニュージーランド、シンガポールのみで提供され、分析やAIといった高負荷ワークロードに最適なソリューションだという。
もう1つの形態は、ユーザー自身がパブリッククラウドに近いデータセンターに、PowerMAX、Unity、Isilonのストレージを置き、パブリッククラウドにコネクションを張って利用するもの。現在、米国のみで提供されている。
Cloud Solutionsとしては、クラウド間のデータ連携を行うのboomiとデータを暗号化するCloudLinkを提供する。Dell自身もEMCの統合の際にはboomiを利用したという。
Cloud Consumptionでは、ビジネスの成長に合わせて支払いなどの柔軟な支払いモデルを提供。
そして、Cloud Servicesでは導入計画のサポート、クラウド立ち上げ、サポート窓口の提供、運用管理の提供を行っていくという。
そして、今後の日本市場での拡販に向けて同氏は、「サービスプロバイダーさんとともに体制を作っていくことが重要で、コミュニティをつくって一緒に盛り上げていきたい。また、『VMware Cloud on AWS』、『Azure VMware Solution』、『VMware Cloud on Dell EMC』など、日本で提供されていないサービスを、日本の状況に合わせて提供していきたい」と述べた。