アリババクラウドは5月20日、主要なデータベースプロダクト「ApsaraDB for PolarDB」、「Web Application Firewall」、ネットワーク高速プロダクト「Global Acceleration」を日本で提供開始すると発表した。
カントリーマネージャーのユニーク・ソン氏は、2020年経営戦略の経営戦略として、「アリババクラウドの強みを発揮し、日本市場での事業をさらに拡大させる。顧客の課題を解決するためのソリューションを提供していく」と語った。
同社は日本の顧客を全面的にサポートするため、ローカライゼーションに注力している。具体的には、日本語ドキュメントと日本語サポートを提供するとともに、日本国内に2つのデータセンターを構え、すべてのデータを日本国内に保持している。
ソン氏は、2020年の経営戦略において注力する分野として、「インターネット企業・中小企業」「エンタープライズ領域」「海外進出日系企業」「オリンピック」の4点を挙げた。
例えば、ニトリはアリババクラウドのイメージサーチの技術を活用しているほか、キヤノンはアリババクラウドのデータセンターと専用回線を利用している。
2020年の製品展開としては既存の製品の機能を強化する一方で、新規事業・プロダクトの開拓にも取り組んでいく。今年4月には、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務の企業、遠隔教育・ 医療などのニーズの高まりを受け、Web会議サービス「DingTalk」の日本語版をリリースした。「DingTalk」はAIチャット翻訳、302人同時に会議が可能、最大4万5000人対応のライブ配信といった特徴を備えている。今回の説明会も、DingTalkを利用して行われた。
また、新型コロナウイルスへの取り組みの一環として、中小企業の顧客を対象に、3,000万米ドル以上に相当する支援プログラム 「Global SME Enablement Program」の提供を開始した。
日本での正式提供が開始された製品については、シニアソリューションアーキテクトの奥山朋氏が説明を行った。
「ApsaraDB for PolarDB」は、同社が独自開発したOLTP系データベース。奥山氏は、同データベースの特徴について「処理とデータを分散することで、拡張性を高めたほか、RDMA(Remote Direct Memory Access)やNVMe SSDを導入することで、高速処理を実現している」と説明した。
また、同社の検証によると、オープンソースのMySQLに比べて約6倍高速であり、他社クラウドサー ビスの同種マネージドサービスに比べ約2倍高速という結果が出ているという。
「Web Application Firewall」は、同社のクラウド・セキュリティ・インテリジェント・コンピューティング機能を活用して、サイバー攻撃やデータ漏洩を防ぐクラウドネイティブのセキュリティ・サービス。奥山氏は、同サービスについて、「これまで、日本ではシンガポールリージョンのWeb Application Firewallを利用していた。しかし今回、日本リージョンにWAFインスタンスを配備して、機能を強化した。これにより、遅延が約4分の1に低減されている(シンガポールインスタンス利用時が73ミリ秒だったのに対し、日本インスタンス利用時は15ミリ秒)」と述べた。
「Global Accelerator」は、企業のグローバルなインターネット接続をサポートする、ネットワーク高速化サービス。広帯域なネットワークバックボーンと各国に用意された接続先(POP)を活用することで、低遅延を実現している。また、きめ細かなアクセスコントロール機能を備え、ブラックリスト/ホワイトリストの運用によってセキュリティリスクを低減している。
なお、日中間の接続に関して、アリババクラウドは政府に認められたクラウドサービスであることから、急なネットワークの遮断などが発生しにくいという。