凸版印刷は4月20日、システム開発部門の強化を目的に長野県飯綱町にシステム開発拠点「ICT KŌBŌ(アイシーティーコーボー)」を新設したと発表した。同社は廃校となった小学校を活用した施設「いいづなコネクトEAST」内に入居し、同日から稼働を開始している。

  • 左からエントランス、共用打ち合わせスペース

    左からエントランス、共用打ち合わせスペース

長野県は、2019年にSociety5.0時代を共創するIT人材・IT産業の集積地を目指す「信州ITバレー構想」を策定し、快適な住環境と暮らしやすさを活かしたIT人材・IT企業集積や産官学連携のITビジネス創出を促し、すべての産業のDX推進を目的とするプロジェクトに取り組んでいる。

また、飯綱町は2016年度から「しごとの創業・交流拠点整備事業」を推進し、同社は企画から運営まで業務を担っており、これらの背景のもと同社は顧客の事業変革におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を本格的に推進しており、さらなるシステム開発拠点の拡充とデジタル人財の強化を目的に長野県飯綱町にICT KŌBŌを新設した。

同社では、ものづくりから卸、小売り、生活者にいたるサプライチェーン全体のデジタル化により顧客の事業変革を支援する「T-DX(トッパン・デジタルトランスフォーメーション)」を推進しており、新施設はT-DXにおける事業の核となるシステム開発部門の体制強化を目的とした開発拠点拡充の第1弾として開設。

地元教育機関の卒業生やU・I・Jターンの人財採用によるデジタル人財の確保と育成も行い、開設時のオフィスにはセキュアビジネス系プラットフォーム関連部門の社員約4人が駐在し、今後は現地の人財採用を進めることで、規模の拡大を予定している。

オフィスの主な特徴として飯綱町の気候や環境を熟知した地元の建築家・施工会社と協業し、自治体から補助のあるストーブの導入やベランダの活用など、一年中ストレスなく過ごしやすいオフィス環境を創出しており、社員が開発にじっくりと向き合える環境を整備。

また、長野県のカラマツの木材やリンゴ箱といった農業資材の再利用など、都市部では実現しにくい温もりのあるオフィス空間を実現しているほか、モニターを通して東京のオフィスと常時接続し、また社内ネットワーク上でのコラボレーションツールを活用することでコミュニケーションや情報伝達のロスがないい開発環境を実現しているという。

さらに、品質の高いりんごをつくる地元の農家を参考にオフィスをゾーニング。集中した開発作業を行うエリア(農園・field)、作業前の準備や休憩をするエリア(納屋・barn)の2つに分け、1つの空間の中でもワークライフバランスをとれるよう工夫した。

今後、同社はICT KŌBŌの新設によりT-DXの推進を強化し、2022年までに25人規模の体制を目指す。今後、全国にシステム開発拠点の増設を進めDX関連事業のさらなる体制強化を目指す。また、地方環境の活用により、リモートワークなどの多様な働き方や地元の企業や人々との交流による新事業創出、地域の雇用拡大などにより、地方創生に貢献していく考えだ。