海水温が極端に高い状態が続く「海洋熱波」による、海の生態系への影響が懸念されている。この熱波が熱帯魚の生理反応に実際に影響することを、沖縄科学技術大学院大学などの国際研究グループが明らかにした。

同大のティモシー・ラバシ教授らはオーストラリア北東部のサンゴ礁地帯、グレートバリアリーフにあるリザード島付近で5種の魚を、2016年の大規模な海洋熱波の発生時やその前後に採取した。これらの肝臓の遺伝子が発現するパターンを比較した結果、代謝やストレス、呼吸に関連する変化がみられた。反応は種ごとに異なり、また熱波の強さや期間の長さの影響を受けていることを発見した。気候変動により海洋熱波が増加すれば、魚の適応力や生態系の健全性に影響が生じる恐れを示す結果が得られたという。

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    調査した魚の一種、スパイニークロミスがオーストラリアのノーザングレートバリアリーフで泳ぐ姿(タネ・シンクレア・テイラー氏撮影、沖縄科学技術大学院大学提供)

ラバシ教授は「今回の結果は、政策決定者や漁業関係者にも影響を持つ」「気候変動の長期的影響も重要だが、本研究では短期的影響の重要性を強調している」などとしている。今後も、海水温上昇が繰り返すことによる魚への影響を実験などにより調べていく。

グループは同大のほかオーストラリアのジェームズ・クック大学、香港大学などで構成。成果は米科学誌「サイエンス・アドバンシズ」に18日に掲載された。

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    ノーザングレートバリアリーフの健康なサンゴ群に生息するスズメダイの群れ(同)

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