ソニーは3月12日、独自開発した生命科学分野で組織や細胞の特徴を分析するために使用する蛍光試薬の素材となる、蛍光色素「KIRAVIA Dyes(キラビアダイズ)」の試薬メーカーへのライセンスを開始したと発表した。

同色素は、同社独自の有機高分子のバックボーン(骨格)に蛍光色素分子を付加して構成した高分子蛍光色素で、その高分子構造は付加する蛍光色素の分子の数を増やし、かつその分子間の距離を調整して消光現象を緩和できるため、明るさの増強が可能だという。

また、バックボーンも市場にあるさまざまな色素と組み合わせが可能なため、これまで試薬に用いることが難しかった数多くの色素を生かし、試薬の色のバリエーションを容易に増やせる可能性もあるとのことで、細胞分析装置(フローサイトメーター)などの多色の細胞分析ソリューションを将来的に強化することにつなげることができるとしている。

  • KIRAVIA Dyes

    既存の色素を用いて分析する場合とKIRAVIA Dyesを用いた場合の構造イメージ

なお、同社は今後、複数の試薬メーカーへのライセンスを通じて、ライフサイエンス研究におけるKIRAVIA Dyesの活用機会を広げていくとしているほか、自社としても同色素を採用した試薬の販売を2020年春をめどに開始する予定としており、自社で手掛けるさまざまなフローサイトメーターを含めたソリューションの強化を図っていくとしている。