米ガートナーは3月10日(現地時間)、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の拡大に伴い、事業の停滞や中断に対する企業のレジリエンス (回復力) を高め、立て直しと成長に備えるために、CIOは3つのアクションに直ちに注力すべきという提言を発表した。

1つ目のアクションは「セキュリティ・コントロールとネットワーク・サポートを備えたデジタル・コラボレーション・ツールの導入」だ。

国・地域・組織単位で多様な検疫対策や移動制限が実施される中、ビジネス・オペレーションの一時停止や抑制が起こり、見通しの不透明感や混乱が広がっている。

こうした中、リモートワークの体制を確立するため、全般的なコミュニケーション用のインスタント・メッセージング、ファイル共有/会議ソリューション、エンタプライズ・アプリケーション(ERPやCRM)へのアクセスといったユースケースの要件を特定するとともに、セキュリティ対策全体を見直してアプリケーションとデータへの安全なアクセスを確保すべきだという。

加えて、人員不足に対応して基本的なオペレーションの維持に取り組む必要もある。CIOとビジネス・リーダーが連携することで、ミッション・クリティカルなサービス領域を特定するなど、リスク評価と人材ギャップの解消に向けたワークフォース・プランニング (人員配置計画) を実現できるという。

2つ目のアクションは「デジタル・チャネルを活用して顧客やパートナー企業とのエンゲージメントを高め、営業活動を維持すること」だ。

企業は、さまざまな顧客エンゲージメントと販売シナリオに対応するため、ワークプレース・コラボレーション、ビデオ会議、ライブストリーミングのソリューションを活用できる。また、オンライン、モバイル、ソーシャル、キオスク、音声自動応答 (IVR) の各チャネルを通じて、顧客がセルフサービスを利用できるように推進すべきだという。

3つ目のアクションは「従業員向けに単一の正しい情報源を確立すること」だ。

不確かな情報源やデータの欠如から混乱を招くと、正しい情報に基づかない意思決定が行われることがある。そうなると、従業員の不安が高まり、平時のオペレーションに戻るための準備に支障を来しかねない。ガートナーは、データを活用することで意思決定を支援し、状況の進展を効率的に従業員に伝えることで、そうした不安はいくらか解消できるとアドバイスしている。

シニア ディレクターのサンディ・シェン氏は、「社内外の情報源から得た情報を吟味・厳選して提供することで、実践的な指針を従業員に提示できる。例えば、地元の行政機関や保健当局、WHO(世界保健機関) のような国際機関といった情報源を活用すべき。情報を精査して自社のポリシーを明確にするため、必要に応じて人事や広報のリーダーの関与を仰ぐことも有効だ。そうした情報を定期的に共有するために、社内向けのサイト、アプリ、ホットラインのいずれかを設置すべきである。そのようなプラットフォームは、従業員が健康状態を通知したり、緊急のサポートやケア・サービスを求めたりする場合にも利用できる」とコメントしている。