IDC Japanは2月5日、国内IoT(Internet of Things)インフラストラクチャ市場予測を発表した。これによると、2019年の国内IoTインフラストラクチャ市場(国内IoTインフラ市場)の支出額は、前年比16.2%増の998億円になると見込んでいるほか、2018年~2023年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は15.8%で、2023年の同支出額は1788億円と予測している。
同社では、全世界のIoTデバイス(エンドポイント)の普及台数が2018年の228億台から2025年には416億台に達すると予測しており、IoTエンドポイントが年間に生成するIoTデータの総量は2018年の13.6兆GBから2025年には79.4兆GBに達すると予測している。
IoTエンドポイントから送信されるデータは、ネットワークを通じて、1か所もしくは複数箇所に収集、蓄積され、データ分析に利用されます。今後急激に増大するIoTデータを処理するシステムとして、IoTインフラに対する需要が拡大すると推測。
また、IoTの基本アーキテクチャとして「IoTの3層モデル」を定義しており、これを基に「IoTコアインフラストラクチャ市場(IoTコアインフラ市場)」と「IoTエッジインフラストラクチャ市場(IoTエッジインフラ市場)」を定義し、各市場について分析と予測を行っている。IoTエンドポイント層で使用されるセンサ、デバイスなどは現時点では調査対象外としており、国内IoTインフラ市場とはIoTコアインフラ市場とIoTエッジインフラ市場の2つのセグメントを合算した市場を表す。
この定義に従い、同社では2019年の国内IoTコアインフラ市場の支出額は前年比12.3%増の666億円、2018年~2023年のCAGRは12.0%、2023年の支出額は、1046億円と予測。一方、2019年の国内IoTエッジインフラ市場の支出額は同25.1%増の331億円、2018年~2023年のCAGRは22.9%で推移し、2023年の支出額は742億円になると予測している。
IoTの普及とともにIoTデータの分析処理が多様化し、レイテンシー(処理応答時間)やセキュリティの観点から、IoTエッジ層でのデータ分析処理を志向する企業が増加しており、最近ではAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術が活用できる高仕様のIoTエッジインフラが登場し、高度なデータ分析処理が可能になってきたこともIoTエッジ層でのデータ分析処理を志向する企業が増加する要因の1つになっている。
昨年、同社が実施したユーザー調査でもIoTコアインフラとIoTエッジインフラに対する予算配分は、今後IoTコアインフラの割合が減少し、IoTエッジインフラの割合が増加するという結果が得られている。このことから、国内IoTインフラ市場全体におけるIoTエッジインフラ市場の構成比は、2018年の30.8%から2023年には10.6ポイント上昇して41.5%になると推測。
同社のエンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーである下河邊雅行氏は「IoTの普及と共に、IoTエッジ層におけるデータ分析処理のニーズが高まり、IoTエッジインフラ市場は、注目すべき成長市場になる。IoTインフラベンダーは、IoTエッジインフラの製品ラインアップを強化し、自社のIoTインフラビジネス拡大につなげていく必要がある」とコメントしている。