⑧医療へのRPA導入事例

医療分野においてもRPAツールの本格的な導入が始まっています。国立大学法人名古大学医学部附属病院の院内全ての事務部門でRPAテクノロジーズの提供するRPAツール「BizRobo」を導入した事例を紹介します。名大病院は業務の洗い出しを行い、各部署にて実証実験を行い、医師勤務時間の集計、外部資金や科学技術研究費補助金の収支簿作成など9つのロボットを職員自らの手で作成しています。

導入理由・現状の課題

名大病院で「BizRobo」を導入した背景には医療業界の医師や看護師をはじめ、様々な職種における過重労働・人手不足に悩まされている現状があります。今後、高齢化社会に拍車がかかることによって労働需給の逼迫が深刻化することは間違いありません。そんな中、事務業務の効率化や自動化を行い、余力時間の確保により病院の企画や戦略的な業務、患者サービスなど付加価値の高い業務へシフトできる可能性がRPAツールです。

導入効果

名大病院でのRPAルーツ導入の効果としては業務の効率化による415.7時間の業務削減、さらに2019年5月からは院内全ての事務部門においてもRPAを本格導入することで合計9,800時間の業務効率化が見込まれています。さらに名大での事例は国立大学病院では他機関に先行したモデルケースとなり、全国の国立大学病院で成果を共有し、業務効率化を促進し、医療現場の働き改革の支援にもつながることになるでしょう。

⑨勤怠管理へのRPA導入事例

アサヒビールやアサヒ飲料といった大手飲料メーカーを擁するアサヒグループホールディングスのバックオフィスであるアサヒプロマネジメントではグループ30社、社員1万7,000人あまりの給与計算や勤怠管理を一手に引き受けています。大々的なビアガーデンに伴う1カ月で200人ものアルバイトの雇用など人事データ年間3万6,000件になるという膨大な仕事量をこなすアサヒプロマネジメントの勤怠管理の事例を紹介します。

導入理由・現状の課題

アサヒプロマネジメントでは各社からエクセルで作成した連絡票をメールで受け取り、内容を確認してから人事システムと勤怠管理システムに手入力するという二度手間の作業を行っていました。また、夏のイベントやお中元、お歳暮のシーズンに増えるアルバイトには人事業務部のメンバーが手分けしてデータを処理するなどの状況が続いていましたが、対応が間に合わないこともあり、RPAの導入に踏み切ります。

導入効果

アサヒプロマネジメントはRPAを導入したことにより年間約1,300時間の業務量削減に成功しています。手入力の作業がなくなり、記入漏れなどもなくなり、担当者が本来取り組むべき業務に集中し、質を高めることにつなげられました。現在はシステム導入で手にしたノウハウを使い、経理、営業部門など他の業務領域に適用範囲を拡大しています。さらに業務システム部では業務時間の削減効率も重視していく方向です。

リンク-導入事例:アサヒプロマネジメント

⑩コールセンターへのRPA導入事例

NTTコミュニケーションズは人工知能とRPAを組み合わせてコールセンターの業務を自動化するサービスを展開しています。自動音声による問い合わせ対応から対応内容の記録などの後続処理まで一連の業務をオペレーターを介することなく自動化し、通信販売の電話による商品注文、飲食店の予約確認などコールセンター業務での利用も想定しています。自社のコンタクトセンターで実施している事例をご紹介します。

導入理由・現状の課題

コールセンターの需要は拡大傾向にある一方で人材採用が難しく、定着率も低いという課題を抱えていました。また、大手飲食店では予約客の無断キャンセルなどが相次ぎ、一方的に飲食店側が損害を被るケースも頻繁に起こっていました。このような現状を打破するための策としてRPAの導入が考えられました。

導入効果

NTTコミュニケーションズのコンタクトセンターの一部で営業時間外の問い合わせ対応を自動化した結果、9割以上の問い合わせをAIによる対応のみで完結できています。また一般的なオペレーター1人当たりにかかる費用を通常より2~3割低い金額で提案することも可能としています。さらに大手飲食店予約サイトとの提携では年間2,000億円に上るとされる食品ロスなどの損害抑制にもつながると考えています。

リンク-実用段階に入った AIによる自動応答 - NTTコミュニケーションズ

⑪不動産へのRPA導入事例

約9万都に上る賃貸住宅を管理している東急住宅リースではアメリカUiPathのRPAソフトウェア「UiPath」を導入し、基幹システムへのデータ入力やPDF化した契約書類のアップロード、入出金管理に関する一覧表や集計表の作成など多くの事務作業を自動化しています。ここでは、より複雑な事務作業を自動化するためにOCRやAIの検討もはじめている東急住宅リースの事例を紹介します。

導入理由・現状の課題

東急住宅リースでは毎年約20%の入居者が入れ替わり、そのたびに契約や解約に関する基幹システムへのデータ入力作業が発生していました。これらの作業は煩雑でとても時間がかかっていたため、事務作業を効率化するためにRPAツールの導入を決めました。

導入効果

東急住宅リースでRPA導入に伴い2019年1月時点で74件の業務を自動化しています。同社では基幹システムへのデータ入力、PDF化した契約書類のアップロード、入出金管理に関する一覧表、集計表の作成などの多くの事務作業を自動化した結果年間約4万時間ほどが削減できると想定しています。またロボット開発の内製化を進めて2020年度末までには年間15万時間の事務作業の自動化を予定しています。