米Pure Storage(ピュアストレージ)は9月17日~18日に米国テキサス州オースティンのAustin Convention Centerにおいて年次カンファレンス「Pure//Accelerate 2019」を開催した。本稿では初日に行われた基調講演をレポートする。

データの環境を柔軟性あるものに

まず、最初に登壇した米Pure Storage 会長兼CEOのチャーリー・ジャンカルロ氏は「われわれは10月1日に設立から10周年を迎えます。この10年でオールフラッシュをはじめ多くの製品を提供し、イノベーションをデリバリーしてきました。それは無停止のアップグレードやクラウド環境の提供、AIを活用した故障の予兆検知、暗号化などです」と説明する。

  • 米Pure Storage 会長兼CEOのチャーリー・ジャンカルロ氏

    米Pure Storage 会長兼CEOのチャーリー・ジャンカルロ氏

IT業界において、90年代はネットワークが細分化されており、2000年代は特定のドライバ、OS、データベース、アプリケーションサーバ、Web/GUIとそれぞれ専用のものであり、アプリケーションは容易に動かすことができなかった。しかし、2010年代には仮想化技術の登場により、アプリケーションスタックをほかのハードウェア上で動かすことが可能となっている。

これまでIT業界が変遷してきた時代背景を踏まえ「現在の課題は、クラウドの運用やAIアナリティクスを活用したデータ活用などが挙げられます。今後も増加するデータに対し、効果的な利用・管理を行うことが重要になっているのです。そして、仮想化されていない環境はデータであり、柔軟でなく、動かすことができないのです」と、ジャンカルロ氏は話す。

そして、同氏は「われわれが学んできたことは、アプリケーションやサーバ、ネットワーク、データの環境を柔軟なものにしなければならないということです。現在はデータ環境を仮想化するときであり、多様なストレージをAPIでエンタープライズ全体にプールし、AIベースのポリシーで管理を行うことが望ましいと考えています。これを、われわれは“Modern Data Experience”と位置付けました。これには『シンプル』『シームレス』『サステイナブル』の3つの原則があります」と強調した。

シンプルはAPI定義、サービス消費型、AIドリブンの自動化、利便性であり、シームレスに関してはマルチプロトコル、SCMやTLC、QLCをはじめとした複数のストレージクラス、マルチクラウド、そしてシンプルを実現する上で同様に語られたAPI定義だという。

ジャンカルロ氏は「個々のストレージシステムをバラバラにとらえるのではなく、ストレージをプールとしてとらえ、必要に応じてアプリケーションがいつでもデータにアクセスすることを可能にしなければなりません」と語気を強める。そして、サステイナブルについてはオンデマンド消費、無停止アップグレード、継続的な改善を挙げていた。

最後に同氏は「今後、数年後にはすべてのアプリケーション、プロトコル、ストレージクラスに対して、APIを通じてサービスを提供できるようになります。われわれの最初の10年は従来のストレージとは異なる経験を提供してきました。そして、次の10年後にはModern Data Experienceに変革していきます」と胸を張っていた。

  • 米Pure Storageが目指すModern Data Experienceの道のり

    米Pure Storageが目指すModern Data Experienceの道のり