富士通研究所と富士通は18日、疾病の影響によって多様に発生する患者の歩き方の特徴を定量化する、歩行特徴デジタル化技術「FUJITSU KIDUKU Walking Engine(キヅク ウォーキングエンジン)」を開発したことを発表した。

  • 開発したアルゴリズムと利用イメージ

    開発したアルゴリズムと利用イメージ

両社によれば、医療現場で患者の歩行を観察して症状を把握する際、疾病の種類や重篤度合いによって多様な歩行特徴が存在するためデジタル化が難しく、現在は理学療法士が目視で行っていることが大半であるという。

両社が開発した「FUJITSU KIDUKU Walking Engine」は、患者の両足首につけた市販のジャイロセンサーの信号波形から、多様な歩き方に対し、歩行特徴の定量化が可能な技術だ。

歩行動作のみの信号を判別したうえで、踵が着地する時や爪先が地面から離れる時など、歩行時の動作の特徴点を歩き方の違いによらず認識可能にします。この特徴点を計測することで、歩幅やスイング時間などの歩き方の特徴を高精度に定量化できるという。

これにより、筋骨格・脳神経・循環器などの様々な疾病の影響で現れる多様な歩き方の観察において、定量的な特徴把握を可能とし、回復過程の記録や遠隔モニタリングなどの業務効率化に貢献するという。

なお、市販のジャイロセンサーを用いて、9種類の歩行異常(小刻み歩行、ぶん回し歩行、すり足歩行など)を含む様々な歩き方を開発技術で評価した結果、歩行動作のみを判別する歩行区間の自動認識精度が96.5%、ストライド時間(スタンス時間とスイング時間の和)の抽出誤差が1.8%(歩行区間を手入力する従来の市販製品と比較し最大で約3分の1に誤差を削減)となり、複数の歩行特徴を高精度に算出できることを確認したということだ。