キリバ・ジャパンは7月10日、記者発表を行い米Kyribaが今年1月に買収した、為替リスク管理のFIREAppsの機能を、今後、クラウド型財務管理ソリューションの「Kyriba Enterprise」に統合し、日本でも提供していくことを明らかにした。
元FIREApps CEO兼共同創設者で、現在米Kyriba チーフエバンジェリストのWolfgang Koester(ウォルフギャング・コースター)氏によれば、ほぼ機能統合の作業は終えており、現在、日本語へのローカライズ中だという。ただ、提供時期は明らかにされなかった。
同氏は為替管理の重要性について日本の大手企業を例にあげ「この会社は為替差損で赤字になっていなければ、18000万人をリストラ必要はなかった。為替リスクを管理できない原因はデータにある。精密なデータがタイムリーに入っていないからだ。為替リスクが削減できれば、コストを削減につながる」と語った。
また、キリバ・ジャパン 代表取締役社長 小松新太郎氏も「為替差損をしっかりマネージしないと、稼いだ利益が吹っ飛ぶことが実際に起こっている。最近は米中の貿易摩擦もあり、為替も大きく変動する。そのため、為替を管理することが非常に重要だ。FIREAppsの買収は、この分野にすばやくリーチする上で、大きな意味がある」と述べた。
同社は、財務管理機能に特化し、企業がすでに導入済みのSAPやOracleなどの会計システムと接続し、お金の流れを一気通貫で可視化している。しかし、会計には多くの投資が行われているのに比べ、財務分野の投資は圧倒的に少ないという。
しかし小松氏は「現在は会計と財務の市場差は100:1で、その差は非常に大きい。ただ、財務市場は現在はExcelで行われているが、これから大きくなっていく。われわれが機能提供している財務というのは、稼いだお金をどう使うのか、どう効率的に調達するのかという領域だが、これから大きく花開く」と、今後の市場拡大に期待を寄せた。
同社が提供する財務管理機能は、銀行でも提供しているが、Kyribaとの違いについて小松氏は「銀行は自行のみの管理だが、Kyribaは複数の銀行口座を管理できる」とアピール。
そして、Kyribaがターゲットとしている企業について小松氏は、売上1000億円以上、複数事業運営、海外子会社10社以上、銀行数10以上、会計システムが統一されていないという5つの項目を挙げた。
元FIREApps CEO兼共同創設者で米Kyribaのグローバル・プロダクトオーナーのCorey Edens(コーリー・エデンズ)氏は、今後のKyriba製品開発の方向性として、アジャイル(俊敏)であること、効率的であることの2つに注力するとした。
具体的には、AIや機械学習、BIに注力し、データの可視化を図っていくという。BIは現在資金用BIを提供しているが、来年までに支払用BI、コンプライアンスBI、リスクBIを提供するという。
さらに、企業システムとの統合、リFIREAppsのKyribaへの統合、対象金融商品の拡大、支払い不正の検知、サイプライチェーンプラットフォームの統合、支払いリアルタイムの支払いなどの機能強化を行うとした。