NTTデータ経営研究所は6月19日、テクノロジー活用によるスポーツ事業創発コンソーシアム「Sports-Tech & Business Lab(STBL)」の活動の一環として、追手門学院大学の上林研究室、ウフルと共同で、IoTを活用したスポーツ観戦における楽しさ・エンゲージメントの見える化に向けた実証実験を行ったと発表した。

これまで、観客が楽しんでくれているか、チームにエンゲージメントを感じているか、熱狂しているか、再来場期待を持っているかについては把握する手段が限られていた。

また、多くの研究は応用科学によるアプローチによって、対話法や質問紙法による調査を行ってきたが、心理的興奮が大きく影響する主観的なデータの妥当性や信頼性については研究の限界が指摘されていた。

そこで、STBLでは「楽しさ、ファンエンゲージメントの見える化」と題した分科会を設置し、IoTなどを活用して観戦者の集中度、熱狂度、満足度などを定量化する手法の検討を続けてきた。

今回の調査方法は、アリーナ観客席に環境調査センサーを設置し、タイムアウトなどを含む試合観戦中の観客の反応データを収集するというもの。

  • 体験と主観・客観データの関係

これにより、観客席のエリア別の音声データを収集・解析し、各観戦者が接している観戦環境の差を定量的に明らかにした。また、試合の撮影映像との突合により、観戦環境の変化と試合の状況などとの関係についても分析を実施している。

今後は、設置するセンサーの種類を増やし、観客の脳波、表情、姿勢、動作といったようなデータの取得対象を広げていくとともに、センサーで取得した客観データと、インタビュー調査・アンケート調査による主観データの相関を調べるなど実証研究としての精度を高めていく予定。