独フランクフルトで開催されている「International Supercomputing Conference 2019(ISC 2019:国際スーパーコンピュータ会議)」において6月17日(独時間)、スーパーコンピュータ(スパコン)の処理性能ランキングである「TOP500」の2019年6月版が発表された。
53回目となる今回のランキングでは、初めて500システムすべてが指標となるHigh Performance Linpack(HPL)ベンチマークで1PFLOPS以上のスコアを達成。500位となる中国のネット企業のLenovo製スパコンの実行演算性能は1.022PFlosとなっている。
また、同ランキングトップとなったのは、前回に続き、米国オークリッジ国立研究所(ORNL)に設置され、2018年6月より稼動を開始したIBM製AIスーパーコンピュータ(スパコン)「Summit」がLINPACKのベンチマークスコアを前回の143.500PFLOPS(消費電力9.8MW)からさらに向上させた148.600PFLOPS(消費電力10.1MW)で3期連続の1位を堅持した。
2位も前回2位であったローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の「Sierra」が、LINPACKのベンチマークスコア94.640PFLOPS(7.4MW。電力、性能ともに前回と同じ)でランクイン。米国勢の2期連続1、2フィニッシュとなった。3位も前回3位で、2016年6月版から2017年11月版までの4期連続1位の記録を持つ中国National Research Center of Parallel Computer Engineering & Technology(NRCPC)が開発し、National Supercomputing Center(Wuxi)に設置されているスパコン「Sunway TaihuLight(神威・太湖之光)」で、LINPACKのベンチマーク93.014PFLOPS/s(消費電力15.3MW)。4位も、同じく中国のNational Super Computer Center in Guangzhouによる「Tianhe-2A」で、LINPACKのベンチマーク61.445PFLOPS(消費電力18.5MW)といずれも前回から変動はない。
5位には、テキサス大学オースティン校のTexas Advanced Computing Center(TACC)が開発・構築を行い、同センターに設置され、2019年より稼動を開始した「Frontera」がベンチマークスコア23.516PFLOPSで初めてランクイン。Fronteraが5位に入ったことによって、前回5位のスイスSwiss National Supercomputing Centre(CSCS)の「Piz Daint」(21.230PFLOPS、2.4MW)が6位に後退。順次、前回6位の米ロスアラモス国立研究所(LANL)とサンディア国立研究所(SNL)の「Trinity」が20.159PFLOPS(7.6MW)が7位に、前回7位であった日本の産業技術総合研究所(産総研)の「人工知能処理向け大規模・省電力クラウド基盤(ABCI:AI Bridging Cloud Infrastructure)」が19.880PFLOPS(1.6MW)で8位に、前回8位であった独ライプニッツ研究センター(LRZ)に設置されたLenovo製スパコン「SuperMUC-NG」が19.477PFLOPSで9位にそれぞれ順位と1つずつ落とした。
また、10位には前回11位であった米LLNLの「Lassen」が前回の15.430PFLOPSから18.200PFLOPSへと性能を引き上げたことでランクインを果たした。
なお、日本の主なスパコンシステムの順位は、8位のABCIのほか、16位に東京大学(東大)-筑波大学の共同運用スパコンで、東大の柏キャンパスの最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC:Joint Center for Advanced High Performance Computing)に設置されている「Oakforest-PACS」(13.555PFLOPS/2.7MW。前回14位)、20位に理化学研究所の「京コンピュータ」(10.510PFLOPS/12.7MW。前回18位)、25位に東京工業大学の「TSUBAME3.0」(8.125PFLOPS/0.8MW。前回22位)、32位および33位に気象庁のスパコン(5.730PFLOPS/1.4MW)、41位に九州大学のスパコンシステム「ITO」(4.541PFLOPS)、45位に東京大学の「Oakbridge-CX」(4.290PFLOPS/0.8MW)、46位に匿名の研究機関のスパコン(4.128PFLOPS)、54位にさくらインターネットのスパコン(3.712PFLOPS)、66位に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「SORA-MA」(3.157PFLOPS/1.7MW)、70位に京都大学の「Camphor 2」(3.057PFLOPS/0.8MW)、75位に名古屋大学のスパコン(2.910PFLOPS/1.4MW)、80位に量子科学技術研究開発機構(QST) 国際核融合エネルギー研究センターの「JFRS-2」(2.787PFLOPS/0.7MW)、81位に東京工業大学の「TSUBAME 2.5」(2.785PFLOPS/1.4MW)となっている。