NTTデータは6月12日、阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行、四国銀行の地方4銀行による包括提携である「四国アライアンス」と共同で、ビジネスマッチング事業におけるAI(人工知能)活用実証実験を、8月30日までの予定で開始した。実験結果を基にサービスのさらなる改善を行い、2019年度下期中を目標に広域連携に対応したビジネスマッチングAI支援サービスの実運用を目指す。
同社は2017年から、NTTグループのAI技術である「corevo(コレボ)」を用いたビジネスマッチングAI支援サービスの技術検証を行っており、実用化に向けた検討を進めてきた。このような状況を受け、同社と四国アライアンスはAI活用基盤を構築し、マッチング候補の選定に関する稼働軽減やマッチング品質の向上に関する効果検証の実証実験を行うことにした。
今回の実証実験では、4行が担当する各顧客の企業情報及び経営課題に沿った要望(ニーズ)をデータベースに集約し、AIを活用して効率的に結び付けるための基盤を構築。顧客の要望に基づく最適なマッチング候補となる企業の選定、および商談の状況・結果の管理を行う。
これにより、稼働軽減や品質の向上を図り、地方創生につながる各銀行の領域を超えたビジネス交流の活性化を目指す。
同実験におけるAI活用基盤は、コミュニティークラウドサービスである「OpenCanvas」上に構築。4行は、IPアドレス制限を利用してインターネット経由で検証環境へセキュアに接続するという。
実験内容としては、4行に寄せられた実際の顧客の要望を使用し、マッチング候補の選定に関する人的負担の軽減やマッチング品質向上の効果検証を行う。検証データは、顧客ニーズが4行の合計で約2800件、マッチング候補企業数は合計約4万社(1行あたり約1万社)。
検証は、顧客ニーズに基づく最適なマッチング候補の選定精度を3つの観点で行う。顧客ニーズに含まれる用語や文をAIが解析し、マッチング候補を最適順にランキングする。
検証における観点は「顧客ニーズ(買いたい)×顧客ニーズ(売りたい)」「顧客ニーズ×自行の企業情報」「顧客ニーズ×四国アライアンスで共有している企業情報」のそれぞれのマッチングとなる。
検証方法は、4行の担当者がAIで自動選定したマッチング候補一覧を確認し、顧客企業に紹介可能と判断した候補件数やランキング順位からAI精度を評価する。また、AI精度が高いと評価した事例に基づき、顧客ニーズや企業情報のデータ登録内容や記載粒度などの分析を行う。