アマゾンウェブサービスジャパン代表取締役社長 長崎忠雄氏

アマゾンウェブサービスジャパン代表取締役社長 長崎忠雄氏

アマゾンウェブサービスジャパンは6月12日、国内の年次イベント「AWS Summit Tokyo 2019」をスタートした。同日に行われた基調講演で、代表取締役社長の長崎忠雄氏は、AWS Summitの意義について「日本のお客さまに、学びの場をご提供すること」と語った。

Amazon Web Servicesはクラウド利用者の50%以上が利用している世界最大のクラウドサービスベンダーであり、同社が提供するサービスは多岐にわたる。こうしたサービスに関してさまざまな情報を提供し、コミュニティが情報交換する場所を提供する、これがAWS Summitの役割ということだ。AWS Summit Tokyo 2019に用意されたセッションの数は308。セッションの数の多さがAWSの提供するサービスの多さを物語っている。

2019年の年間推定収益は3.3兆円に上る

長崎氏は、Amazon Web Serviecsの2019年第1四半期における業績から、2019年は308億米ドル(日本円で3.3兆円相当)の年間推定収益が予測されていると説明した。Amazon Web Servicesの業績は右肩上がりに成長しており、2019年第1四半期もその傾向を裏付けている。

Amazon Web Servicesは同社最大のカンファレンスを「AWS re:Invent」として毎年ラスベガスで開催している。新サービスの発表が相次いで行われる同社最大のイベントだ。他のIT系大規模カンファレンスと比較しても最上位クラスの規模を誇る。

一方、各国では「AWS Summit」という名称でカンファレンスが開催されている。2019年、日本では東京と大阪で開催される。幕張で開催されている「AWS Summit Tokyo 2019」は日本最大級のカンファレンスで、3日間のイベントに同社のサービスを利用するさまざまなコミュニティが集う。

グローバル事業にとってはAWSが最適だった - 三菱電機

三菱電機 リビング・デジタルメディア事業本部 リビング・デジタルメディア技術部長 朝日宣雄氏

三菱電機 リビング・デジタルメディア事業本部 リビング・デジタルメディア技術部長 朝日宣雄氏

初日の基調講演では、Amazon Web Servicesを利用している企業の担当者が登壇し、自社の利用状況を披露した。家電製品を製造している三菱電機のリビング・デジタルメディア事業本部 リビング・デジタルメディア技術部長 朝日宣雄氏は「スマートスピーカーなどの登場によって家電というものの意識を変える必要が出てきた」と語った。インターネットに接続し、個々のユーザーが求めるものを提供するというスタイルが必要になってきたという。

こうした要望に応えるため、三菱電機が個々のプロダクトでサービスの開発を進めた結果、「バラバラなクラウドサービスを提供するという状況になってしまった」と朝日氏は述べた。その結果、顧客に個別のサービスの利用を強いることになってしまったことから、こうした状況を改善するために「世界統一のプラットフォームを作ろうと計画するようになった」という。

朝日氏は、世界中に生産および販売拠点を持つ三菱電機がクラウドサービスに求める必要条件として「グローバル拠点で利用できること」「サーバレスアーキテクチャで各拠点のアプリを統合可能であること」「協業する多くのパートナーが存在していること」を挙げた。この条件を満たすクラウドベンダーがAmazon Web Servicesだったわけだ。同社のクラウドベースの世界統一プラットフォームはAmazon Web Servicesのサービスを使って構築されている。

エンジニアが元気になった - ニフティ

ニフティ 取締役兼執行役員兼CIO兼ITシステム統括部長 前島一就氏

ニフティ 取締役兼執行役員兼CIO兼ITシステム統括部長 前島一就氏

ニフティ取締役兼執行役員兼CIO兼ITシステム統括部長 前島一就氏は、これまでにニフティが開発してきた資産そのものがさまざまな問題の原因になってきたとし「レガシーなシステムが足かせになっていた」と説明した。Amazon Web Servicesへ移行したのはこうした問題を解決するためだったという。

ニフティはシステムを刷新するにあたり「サーバ稼働環境コストの圧縮」「既存のデータセンターからの撤収」「技術力の向上」「外部委託からの脱却」といった目標を設定。これを満たすサービスがAmazon Web Servicesだったと説明している。

前島氏は、実際に移行作業を行ってみて、「データベース移行の容易さやサポート/トレーニング/資料の豊富さなどに大いに助けられた」と語った。さらに、最新の技術を学ぶことでエンジニアが元気になり、自らが新しい技術を学ぶようになったことにも言及した。

ニフティはレガシーからAmazon Web Servicesへの移行を年内には完成させる予定としており、新たなシステムはAmazon Web Servicesを使って開発すること、オフィス環境についても現在Amazon Web Servicesへの移行を進めていることを明らかにした。

セキュアな研究開発環境を実現 - シナモン

シナモン CEO 平野未来氏

シナモン CEO 平野未来氏

シナモンは従業員の半数が人工知能研究者という特徴的な企業だ。顧客の持つ非構造データを解析し、最終的に自然言語で理解できる状態までもっていく。こうした業務を実現するために欠かせないサービスが「Amazon SageMakerだった」とシナモン CEO 平野未来氏は説明する。Amazon SageMakerによって、学習データの移動に伴うセキュリティ確保の手間を省くことができ、研究者が開発したモデルを即座に適用できるという。

今回、ゲスト登壇者が利用しているサービスとして挙げたAmazon Web Servicesのサービスはさまざまだ。これはAmazon Web Servicesの提供するサービスが多種多様であること、サービスを利用する業種が多岐にわたることを意味している。Amazon Web Servicesは提供するサービスをさらに増やしており、今後もさらに多くの業界がAmazon Web Servicesを利用するようになると思われる。