レノボは、2019年5月13日~15日までの3日間、米フロリダ州オーランドのWalt Disney Swan & Dolphin Resortにおいて、年次イベント「Lenovo Accelerate '19」を開催した。
昨年までは、パートナー向けイベント「Accelerate」と、顧客向けイベント「Transform」という2つのイベントを個別に開催していたが、今年からはこれを統合。「Lenovo Accelerate '19」として、新たなスタイルで開催した。
テーマは、「Leading Intelligent Transformation」。世界42カ国から1871人のパートナーおよび顧客が参加。レノボの最新製品やテクノロジーを紹介するとともに、パートナー企業の展示などを通じたエコシステムによるソリューションなどを紹介した。
エッジサーバの発表が最大のトピック
開催初日に開催された基調講演では、レノボ シニアバイスブレジデント兼CIOのアーサー・フー氏、レノボ エグゼクティブバイスプレジデント兼データセンターグループ担当プレジデントのカーク・スコーゲン氏、レノボ インテリジェントデバイスグループ コマーシャルビジネス担当シニアバイスプレジデントのクリスチャン・タイズマン氏などが登壇。エンタープライズ事業とPC事業のそれぞれにおける新たな方向性として、「Transform 3.0」を発表してみせた。
エンタープライズ事業を担うレノボ エグゼクティブバイスプレジデント兼データセンターグループ担当プレジデントのカーク・スコーゲン氏は、データセンターグループにおけるTransform 3.0に触れる前に、これまでの取り組みを振り返った。
「2017年にTransform 1.0を発表した際には、ThinkSystem、ThinkAgileという新たなサーバーブランドを発表し、結果として、市場全体の成長に対して、1.4倍もの成長を遂げることができた。ここでは、高い性能と信頼性が評価されており、ダウンタイムが最も少なく、顧客満足度もナンバーワンになっている。2018年のTransform 2.0では、ネットアップとの戦略的アライアンスによって、ストレージにおいて、92%の市場をカバーできるようになった。これによって、ストレージ分野では、市場全体の5倍の成長を遂げており、世界で3番目に大きなストレージの会社になった」と語り、会場から大きな拍手が湧いた。
そして、「2019年は、Transform 3.0を打ち出すことになる。そこでは、エッジへの取り組みが重要になる。そして、今年はエッジサーバの発表が最大のトピックになる」と発言。その代表的な製品として、「ThinkSystem SE350」を紹介した。
ThinkSystem SE350は、省スペースの店舗内に設置したり、工場の壁に取り付けたりすることが可能なエッジサーバで、Wi-Fiだけでなく、5Gにも対応することで、どんな場所でも、常にネットワークに接続された形で稼働。0~55℃の環境で動作し、ホコリなどが多い劣悪な場所での利用も可能だという。
さらに、新たなサービスとして、Lenovo TruScale as a Serviceを提供することに言及。レノボの幅広い製品ポートフォリオから要件に適したソリューションを選択し、利用した分だけ支払うサービスを提供することができるという。「リースモデルとは異なり、使った分だけを支払うことで、毎月の利用料金が最適な形に変動することになる」とした。
講演の最後に、スコーゲン氏は、「Transform 3.0への取り組みによって、Intelligent Transformationを加速させ、社会課題を解決し、さらに成長を遂げていくことになる」と意欲をみせた。
世界初のFoldable PCのプロトタイプを壇上で公開
PC事業におけるTransform 3.0に関して説明を行ったレノボ インテリジェントデバイスグループ コマーシャル ビジネス担当シニアバイスプレジデントのクリスチャン・タイズマン氏は、2017年のTransformでは、ThinkPadが25周年の節目を迎えるとともに、ビジネス環境やワークフォースが変化していることを捉えて、「Personalized Computing」を打ち出したこと、2018年のTransform 2.0では、社員のエクスペリエンスにフォーカスした「Workplace Transformation」に取り組んできたことを示しながら、「私たちは、さらにその先に行かなくてはならない。それは、Intelligent Transformationによって、ビジネスをスマートにすることであり、それがTransform 3.0になる」とした。
また、タイズマン氏は、「我々のビジョンはシンプルであり、ビジネスユーザーをエンパワーし、世界で最もスマートなコンピューティングを提供することである。そのためには、インテリジェントなデバイスを選択できるスマーターデバイス、ITを効率化し、ユーザーエクスペリエンスを拡張するスマーターワークプレイス、新たな技術を活用して、賢くビジネスを行い、競争力を高めるスマータービジネスの3つの柱で取り組んでいくことになる」と述べた。
このなかで、スマーターワークプレイスの中核的製品のひとつになるThinkShieldについて説明。
「ThinkShieldは、データ、アイデンティティ、デバイス、オンラインアクティビティの4つに焦点を当てており、エンド・トゥ・エンドの包括的なセキュリティを可能にすることで、業界で最もセキュアなPCを提供することができる。新たにThinkShieldチップ、Self Healing BIOSなどの機能を追加した」と述べた。
また、タイズマン氏は、世界初のFoldable PCのプロトタイプを壇上で公開し、2020年に出荷する計画を明らかにした。同PCは、折り畳みが可能な13.3型の有機ELを採用。タブレットモードでは、タッチやペン操作が可能なタブレットとして利用できるほか、ブックモードでは、書籍を読むようにして持つことができ、プロダクティビティモードでは、ノートPCのようにして利用できる。プロダクティビティモードではディスプレイの半分がキーボードになる。タイズマン氏は、「これは新たなカテゴリーのPCであり、パーソナル化したコンピューティングの新たな時代が始まる」と宣言した。
そのほか、中小企業向けの新ブランドであるThinkBookや、第2世代のRyzen Proを搭載したThinkPad X395/T495s/T495、8コアのインテル Core i9と、nVIDIA GeForce GTX1650を搭載したThinkPad X1 Extreme(Gen 2)を発表。世界最小のコマーシャルデスクトップPCのThinkCentre NanoやIoTゲートウェイのThinkCentre Nano IoT、ARヘッドマウントディスプレイの「ThinkReality A6」も公開した。
一方、レノボ シニアバイスブレジデント兼CIOのアーサー・フー氏は、「レノボの売上高は、過去最高の約500億ドルに達し、フォーブスの調べでは、世界で150位の会社になった。この成長は、顧客中心の戦略と、企業市民として、地球に貢献することによって成し得たものである。そして、スマートな世界を実現することに力を注いできた」とし、「これからはスマートバーチカルが重要になる。スマートバーチカルは、データを収集するスマートIoT、優れたコンピューティングパワーによるスマートインフラストラクチャー、よりよい意識決定をサポートするビッグデータ/AIによって構成される。レノボは、こうした時代に向けた準備ができており、パートナーとともに、顧客を次のレベルに引き上げることができる。私たちのミッションは、Intelligent Transformationのリーダーとなり、イネーブラーになることだ」などと述べた。