Dell Technologiesは、米国ラスベガスで4月29日~5月2日、プライべートイベント「Dell Technologies World 2019」を開催。2日目には、「Innovation to unlock your digital future.”」と題した基調講演が行われ、前日に引き続き、米Dell Technologies Vice Chairman Products and Operations Jeff Clarke(ジェフ・クラーク)氏が登壇し、Dell EMC President and CTO John Roese氏とともに新製品を紹介した。

ジェフ・クラーク氏は「今はデータ時代で、データが津波のようにさまざまなところから押し寄せている。そのため、もっと近代的なコンピュートとストレージが必要だ」と語り、近代化に必要な要素を5つ挙げた。

  • Dell 米Technologies Vice Chairman Products and Operations Jeff Clarke(ジェフ・クラーク)氏

1つ目はAIで、フレキシビリビリティとスケーラビリティ、スピードが必要になるとした。

2つ目はハイブリッドクラウドで、「パブリックとプライベートの両方が必要で、これからのITの中心になる。そして、クラウドはエッジに近いものになる。それによって、迅速に効率的にデータにアクセスし、アナリティクスもオンプレミスで行うようになる」と述べた

3つ目は、インテリジェントなエッジで、データをリアルタイムで解析できるように必要になるとし、4つ目としてSoftware-Definedを挙げ、「新しいサービスやソリューションの導入やアップデートを簡単にできるからだ」と理由を説明した。

5つ目は近代的な働き方で、新しいデバイスやAR/VRなどを活用することを例に挙げた。

そして、「この5つがデジタルトランスフォーメーションの中心だ」と述べた。

マシンラーニング向けサーバ「Dell EMC DSS 8440」

同日の基調講演で、今回のイベントで唯一の新サーバとして紹介されたのは、マシンラーニング向けの「Dell EMC DSS 8440」。Intel Xeonを搭載する2スケットの4Uサーバで、4/8/10個のNVIDIA Tesla V100 Tensor Core GPUを搭載できる。ストレージは、2.5インチを最大10個搭載でき、SASとNVMeが利用可能だ(それぞれ2個が固定で、残り6個はどちらかを選択)。

  • 展示会場の「Dell EMC DSS 8440」

このサーバは、画像認識、顔認識、自然言語翻訳などの複雑な作業負荷のために開発されている。

また、同社はスタートアップのアクセラレータ企業であるGraphcoreとも提携しており、今後、NVIDIAのGPUの代わりにGraphcoreのIPUも搭載できるようにする予定。

  • 展示会場でGraphcoreのIPUを紹介していた

新ストレージではUnityやIsilon

ストレージでは、ミッドレンジのユニファイドストレージである「Unity」の新シリーズとして、「Dell EMC Unity XT」を発表。前世代よりも最大で2倍速くなり、最大5:1のデータ圧縮を行い、NVMe対応になっている。

  • 「Unity」の新シリーズ、「Dell EMC Unity XT」

  • ステージ上で「Unity」を紹介するDell EMC President and CTO John Roese氏(右)と Dell EMC President & GM Storage Division Jeff Boudreau氏(左)

オールフラッシュとハイブリッドモデルがあり、ドライブはUnity 880では最大1500ドライブまで搭載できる。なお、Dell EMC Unity XTシリーズは、2019年7月に発売予定。

  • 「Dell EMC Unity XT」のラインナップ

スケールアウトNASのIsilonでは、「Dell EMC Isilon H5600」を新たに発表。2019年6月に発売予定となっている。OneFS 8.2により、容量は最大252ノード、58PBまで拡張できる。

  • 「Dell EMC Isilon H5600」

データ保護領域でPowerの冠を付けたデータPowerProtectという新シリーズ

データ保護の領域では、PowerProtectという新シリーズで「PowerProtect X400」を発表。PowerProtectはSoftware-Definedのアプライアンスで、スケールアップやスケールアウトが可能。バックアップ、リカバリ、およびレプリケーションを可能にし、Dell EMC PowerProtectソフトウェアプラットフォームにより、データの保護、複製、再利用のほか、バックアップおよびリカバリ操作を制御する自律性を与えるSaaSベースの管理およびセルフサービス機能を提供。

ストレージは、ハイブリッドまたはオールフラッシュがあり、インテリジェントロードバランシングのために機械学習を利用し、最適配置や重複排除を行う。

  • 展示会場の「PowerProtect X400」

Dell EMC President Data Protection Division Beth Phalen氏は、「顧客はビジネスデータの価値を認識している。新しい脅威も出てきており、全体の環境も変わってきているので、顧客はこれに対応することが大事だと考えている。スケールはクイックに行う必要があり、分散化も必要だ。バックアップもデュプリケートもしなければならない、しかしデータは膨大になっている。セキュリティも重要になっている。そういう中でデータをマネージするわけなので、そのための新しいプロダクトラインとして、PowerProtectを発表した」と説明した。

  • 「PowerProtect X400」を紹介するDell EMC Data President Protection Division Beth Phalen氏

なお、PowerProtectソフトウェアプラットフォームとPowerProtect X400アプライアンスは、2019年7月に発売予定。

クラウドの新サービス「Cloud Storage Services」

また、オンプレミスのストレージを拡張できる「Dell EMC Cloud Storage Services」も発表した。このサービスは、パートナーのパブリッククラウドのストレージを購入して、オンプレミスのシステムにつなぎ(Dell EMC Unity、PowerMax、およびIsilon)、データのやり取りができるもの。主な用途はDR(Disaster Recovery)とアプリケーションの利用が一時的に急拡大したような場合を想定。VMwareの利用者は、AWS上のVMware Cloudの自動化されたサービスとしての従量課金のDRを実現できる。なお、このサービスは2019年5月に利用可能となる予定。