日本マイクロソフトは4月18日、都内で現場の最前線で活躍する従業員(ファーストラインワーカー)の働き方改革推進に関する記者説明会を開催した。ファーストラインワーカーとは、顧客対応窓口や各種店舗、製造工場、コールセンター、建設現場、診療所などに従事する人を指す。
日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&ソリューション事業本部長 兼 働き方改革推進担当役員の手島主税氏は「日本の生産年齢人口は1990年台後半を境に下降を続けており、2025年には7230万人に減少する。このうち、国内におけるファースラインワーカーは4000万人であり、早期に業務効率化を進めなければならない」と、警鐘を鳴らす。
そこで、同社では現場の最前線で活躍する従業員のためのデジタルトランスフォーメーションの6つのシナリオとして「企業文化とコミュニティの促進」「教育/研修とスキルアップ」「業務プロセスのデジタル化」「リアルタイムな課題解決と現場知見の蓄積」「シフト管理&タスク管理のデジタル化」「セキュリティリスクの低減」を挙げている。
これにより、紙ベースの作業や各現場で異なるツール、スムーズではない本部と現場間の連携、IT部門が把握していないアプリの使用、セキュリティ対策が施されていないなどの課題を解決し、1つのデジタルプラットフォームで企業全体の生産性向上とセキュリティ強化を提供するという。
同社では、カスタム・ビジネスアプリケーションを構築するためのノンコーディングプラットフォーム「Microsoft PowerApps」、プロセスとタスクを自動化する「Microsoft Flow」、BIツール「Power BI」、コミュニケーションツール「Microsfot Teams」、従来のMicrosoft Dynamics CRM OnlineとMicrosoft Dynamics AXを統合したクラウド型ビジネスプラットフォーム「Microsoft Dynamics 365」を提供している。
例えば、保全作業において現場での設備保全作業、現場から本部への活動報告、追加調査・業務アサインという業務フローに置いて、設備保全作業ではにPowerAppsとFlowを用いて、簡単にアプリ作成し、ペーパレスでいつでもどこでも本部への報告が可能になる。
現場から本部への活動報告には、Power BIで活動の一元管理と問題を迅速に把握することを可能とし、追加調査・業務アサインにおいてはTeamsとDynamics 365により、コラボレーション速度の向上や業務プロセスを可視化することができるという。
手島氏は「これらの製品に限らず、HoloLensやSurface、多様なデバイスも含めてファースラインワーカーに加え、スマートファクトリー、スマートビルディング、デジタルツインなどに対し提供している。しかし、各業務が一環してつながらなければ効率化はうまくいかない。そのため一番重要なのはデータ連携であり、われわれではビジネス全般のデジタルシグナルを収集し、データの連結と合成した上でビジネス成果の改善を行うデジタルフィードバックループを提唱している」と述べた。
一方で、顧客はデータをつなげ、業務に活用するステップが不明瞭であることが多いことから、同社ではクラウド&ソリューション事業本部に顧客を支援するためのX(クロス)インテリジェンス・センターを6月3日に開設する。
同センターは、データ、クラウド、エッジデバイスの各種スペシャリストで構成し、実現したい業務の理念、それに付随するデータを実際のステップを支援することで、データの活用によるインテリジェンスの獲得を顧客と実現するという。
最後に手島氏は「われわれが実現したいことは日本の成長や多様化された世界において勝負していくことであり、そのためには新しい働き方を創出していくことが重要だ」と、強調していた。