アクイアジャパンは3月13日、都内でメディア向けに事業戦略説明会を開催した。説明会には米国本社からCEOのマイク・サリバン氏が来日し、出席した。

アクイアジャパンは昨年10月に米Acquiaの日本法人として設立。サリバン氏は「われわれはオープンソーステクノロジーを活用し、デジタル体験を創造する企業だ。エンタープライズ環境向けのCMSである『Drupal』を事業の中核に据えている」と、述べた。

  • 米 Acquia CEOのマイク・サリバン氏

    米 Acquia CEOのマイク・サリバン氏

現在、同社の顧客は4000社に達し、グローバルなパートナープログラムを備え、昨年の総売上が2億ドル、成長率(受注ベース)は33%となっている。Drupalは、世界最大のオープンソースコミュニティ(人数ベース)を抱え、100万以上のWebサイトで稼働し、4万6000人以上の開発者と130万人以上が利用しており、過去1年間で1000社から8000人の開発者が貢献している。

サリバン氏は「かつてのデジタルエクスペリエンスは、Webサイトにおける提供に限定されていたが、現在はSNSやEメール音声アプリ、チャットボットなど、あらゆるチャネルにコンテンツを配信することが求められている。また、消費者はパーソナライズされたコンテンツを期待しており、そのためには機械学習などを活用し、インテリジェントな意思決定を可能にする分離されたアーキテクチャかつ、さまざまなシステムとの統合ができるCMSが望ましく、われわれのプラットフォームは、これらを可能としている」と、説明した。

アクイアジャパン セールスディレクターの上田善行氏は「われわれの調査によると、グローバルのマーケターの88%は顧客体験のデジタルプラットフォームにオープンソースを活用したいと考えている。APIファーストのクラウド・プラットフォーム『Acquia Experience Platform』により、統合されたチャネルに依存しない顧客体験を構築していることに加え、マルチサイトに対応しているためグローバルに展開するWebサイトを一元管理が可能だ」と、強調する。

  • アクイアジャパン セールスディレクターの上田善行氏

    アクイアジャパン セールスディレクターの上田善行氏

同社は、オープンソースのイノベーションとクラウドにより、常に最新でセキュアなプラットフォームを提供しており、Drupalで顧客体験の構築・管理・最適化を実現し、FedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program:米国政府によるクラウドサービスのためのセキュリティ基準)などのセキュリティ認定を取得していることから、SLA(Service Level Agreement)は99.5%だという。

Acquia Experience Platformは、マーケータ、運用管理者、開発者を対象とし、マーケターの「顧客体験の分析と最適化」を、運用管理者における「プラットフォームの管理と保護」を、開発者の「アプリケーションの設計と構築」をそれぞれ支援。

具体的には、マーケターはコンテンツ管理、デジタルアセット管理、ユーザー行動データ管理、パソナライゼーション、ジャーニーオーケストレーション、Eコマース連携を可能としている。

また、運用管理者はクラウド、チームガバナンス、ワークフロー、インサイト、セキュリティ、コンテンツデリバリーネットワークを利用できるほか、開発者は統合API、デスクトップ開発環境、CI/CDパイプライン、BLT、NodeJSサービス、Decoupledアーキテクチャに取り組むことが可能だ。

  • Acquia Experience Platformは、マーケータ、運用管理者、開発者を支援するという

    Acquia Experience Platformは、マーケータ、運用管理者、開発者を支援するという

これらのAcquia Experience Platformは、Drupalに最適化されたPaaSであり、より強固なものにするため「Acquia DAM(Digital Asset Management)」「Profile Manager」「Acquia Lift」「Acquia Commerce Manager」をはじめとした製品を提供している。

  • Acquia Experience Platformは、マーケータ、運用管理者、開発者を支援するという

    Drupalを軸にしたアクイアのポートフォリオ

米 Acquia APJ ジェネラル・マネージャーのクリス・ギブス氏は、日本における戦略について「前年度比100%の成長を計画し、この成長を牽引する要因としてはDrupalの採用が倍増すると予測しているからだ。また、Drupalの認定試験のローカライズし、1~2年以内に国内でのエンタプライズ向けCMSでナンバー1を目指す」と、力を込めていた。

  • Drupalを軸にしたアクイアのポートフォリオ

    米 Acquia APJ ジェネラル・マネージャーのクリス・ギブス氏

加えて、営業や技術、マーケティング、パートナー担当を採用し、日本をアジアの地域本社と位置づけ、組織の拡大を図ることに加え、パートナー数とDrupalコミュニティも拡大していく方針を示している。

なお、国内では三菱重工業やアステラス製薬、川崎汽船と商船三井、日本郵船3社の合弁会社であるオーシャン ネットワーク エクスプレス ジャパンなどがDrupalと同社製品を組み合わせたソリューションを採用している。