Box Japan 代表取締役社長 古市克典氏

Box Japanは3月12日、記者説明会を開催し、今年度の事業戦略を紹介するとともに、ビジネスプロセスと連動したアプリケーション開発のためのサービス「Box Platform」を4月1日より国内で提供開始することを発表した。Box Platformは米国では2015年に提供が開始されている。

代表取締役社長の古市克典氏は、「エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント(ECM)を利用している企業の3社に1社はクラウドに移行しようとしている。われわれはそこに生まれる新たな市場として、クラウド・コンテンツ・マネジメント(CCM)を創造していく」と語った。

そのために、同社は今年度に「Box Platform」「ワークフロー」「メタデータ」「セキュリティ&ガバナンス」「より完璧なシステムの安定性」に注力する。

Boxは企業のデジタル変革のステップを「個人の生産性向上」「チームコラボレーション」「コラボラティブビジネスプロセス」「インテリジェントエンタープライズ」と定義しており、Boxをベースにパートナーのサービスをカスタマイズすることで、顧客企業のステップアップを支援する。

  • Boxが考えるデジタル変革のステップ

現在、Box上で1400以上の米国のベンダーのサービス、100以上の日本のベンダーのサービスを利用できる。古市氏は「機能ごとにベストのサービスが使えるのがBoxの強み」とアピールした。

また、標準的なサービスを提供するクラウドサービスが自社の環境に合わないと考える企業も少なくないが、さまざまなサービスをカスタマイズできるBoxはこうした企業が抱える課題を解決するという。

  • Box上で1400以上の米国のベンダーのサービス、100以上の日本のベンダーのサービスを利用可能

4月より提供が開始される「Box Platform」は、企業や事業者がBoxのAPIやSDKを用いて、ビジネスプロセスと連動したアプリケーションを開発することを可能にする。具体的には、「Restful API」「SDK」「UI Element」「Mobile UI Kit」が提供される。これらを用いて、Boxのコンテンツ管理機能をカスタムアプリケーションに組み込むことが可能になる。

また、Box PlatformではService AccountまたはApp Userを使ってAPI経由でBoxへアクセスすることが可能なため、Boxのアカウントを持たないユーザーもアプリケーション経由でBoxにアクセスすることが可能。

  • Box Platformの技術的な仕組み

米国では2015年から「Box Platform」が提供されているが、ビジネスアプリケーション(CRM、HCM、ERPなど)との統合、ローン申請・口座開設・保険請求などのB2C/B2Bアプリケーションとの連携、資産運用コンサルティング・納税申告代行といったクラウドサービスへのコンテンツ管理機能の組み込みなどの用途で利用されているという。

国内では、エムスリーデジタルコミュニケーションズや旭化成ホームズなどが先行してBox Platformを導入している。説明会には、エムスリーデジタルコミュニケーションズの導入事例が紹介された。

エムスリーデジタルコミュニケーションズは、インターネットを利用した医療関連領域へのデジタルコミュニケーションサービスを提供している。同社はBox Platformを用いて、医師とMRのオンラインディテーリングサービスを構築している。

これまでの医療関連のサービスでは、「資料をローカルに保存する」「ソフトウェアをインストールする」際に課題を抱えていたが、Box Platformによってその課題が解決されるという。

  • Box Platformが解決する課題

Box Platformのライセンスは通常のBoxとは異なる月間APIコール数・月間データ転送量・ストレージ容量・月間アクティブユーザー数で決まる新たな課金体系となる。

  • Box Platformの課金体系