さくらインターネットは、1996年の設立以来、データセンター事業を中心としたインターネットサービスを提供する。ビジネスの成長にともなって従業員も増え、業務システムや各種ルールも適宜変化して行く中、人事や総務部門への社員からのさまざまな問い合わせが増えていったという。

「社内での問い合わせや周知の場がまとまっておらず、総務と人事でも別の場所で情報を探す必要がありました。社内ポータル的にすべてがまとまった場所を作りたいと考え、2015年3月頃からFAQシステムの導入の検討を開始しました」と語るのは、さくらインターネット 管理本部 総務部 情報システムグループの小泉行生氏だ。

  • さくらインターネット 管理本部 総務部 情報システムグループ 小泉行生氏

基本的なお知らせのためのサイトや各種情報をまとめた社内Wikiも存在したが、検索をしても、社員が困った時に頼る窓口が一本化されておらず、内容的にもの足りない状態だったという。

「Wikiは誰でも編集できるため、管理が行き届いていませんでした。同じ情報がいくつも出てきてしまい最新がどれだかわからない、個人的なメモのように作られた記事しか見つからないといった状態です。内容も正しいのかどうかわかりません。そこで、オフィシャルなものを作ろうということになりました」とさくらインターネット 管理本部 人事部の川村貴宏氏は語る。

  • さくらインターネット 管理本部 人事部 川村貴宏氏

2015年当時の従業員数は300人程度だったが、その1年前に社員が急増したこともあり、情報を求める社員が多くなっていた。総務部や人事部は問い合わせ対応に奔走していたという。

「個別にメールやメッセンジャーで対応する日々でした。FAQに情報がまとまっても質問がなくなるというものではないでしょうが、ここを見てくださいとURLを貼り付ければ済むようにしたいと考えていました」(小泉氏)

バックオフィスでの運用効率化を考えSaaS型の「OKBIZ.」を採用

こうした状況を解決するために選択されたのが、オウケイウェイヴが提供するFAQシステム「OKBIZ.」だった。重視されたのはユーザーにとっての検索性と、SaaS型で運用保守が必要のないサービスだったという。

  • さくらインターネットのFAQシステム。キーワード検索のほか、左にあるカテゴリツリーを辿っての検索もできる

「自社でデータセンターは保有していますが、今回のFAQシステムはバックオフィス側で利用するものです。社内に技術者は多くいますがバックオフィスにはいません。技術者には外向きのサービスに注力してほしいという考えでSaaSを選択しました。社内の人間が作れば使いやすくなるというものでもなく、外部にいいものがあるならそれを利用したいと考えました」(川村氏)

2015年9月のFAQシステム導入時には、既存Wikiで内容の正しいものを選別し、OKBIZ.での検索結果から誘導リンクを張る方式が多かったという。これは現在も続いており、短文の回答はFAQシステムへ移植し、内容に変化のあったものは新規作成といったアップデートが行われている。

システムの運用を開始しても、すぐに問い合わせが減ることはなかったが、メッセンジャーでの問い合わせに対してFAQへ誘導したり、新入社員にFAQの存在をアピールすることで徐々に利用は伸びていったという。

「3~4カ月で、目に見えて問い合わせ件数が減ったと感じました。数回聞かれたことはすぐにFAQに登録するなどした結果、現在は通常時で月あたり800件、年末年始や年度はじめなど問い合わせが増える月で1000件程度の利用があります」(小泉氏)