さくらインターネットがFAQシステム利用拡大に向けて行ったのは、地道な日々の努力だ。

「当初は週に1回程度、現在は月に1回程度、検索しても該当項目が見つからなかった『0件ヒット』の検索語を精査し、対応する内容を追記していきました」(川村氏)

OKBIZ.の持つレポート機能を利用すると、この0件ヒットになっている検索語や、探されているものとのギャップなどを確認でき、FAQ充実に役立っているという。

  • 検索しても1回もヒットしなかった検索ワードを表示する「0件ヒット」

また、トップページには最新記事や頻出質問へのリンク、カテゴリごとのツリーも存在するが、キーワード検索の利用率が圧倒的に高いこともレポート機能で把握し、検索性の向上に努めた。

「フローチャートを作ったこともありますが、使い勝手のいいものにはならなかったので削除しました。ツリーは所管部署ごとにまとめるのではなく、ユーザーが探したい内容ごとにまとめるなどの工夫はしています。検索については記事作成側で表記ゆれをなくす努力をしつつ、OKBIZ.の機能を利用して類義語登録をして検索結果を誘導しました。たとえば、PCと検索してもパソコンと検索しても同じものが見つかるようにしてあります。0件ヒットと合わせて、われわれが知らなかった社内での呼び方を調べて文中で使うように文章を書き換えたり、検索用キーワードとして文末に追記したりして、ヒット率を高めています」(小泉氏)

年に一度の棚卸しで内容が重複する記事をまとめるなどの作業はしているが、基本的に一度作った記事は削除しないようにしているという。これは、その時点では不要だと判断されても、後々必要になる可能性もあるという判断だ。

「現在は公開件数が700件程度で、必要に応じて月に1~2本は追加記事の作成がある状態です。人事や経理といった管理部門では各個人が随時FAQを作成し、他部署からの依頼に対しては情報システムグループが作っています。FAQ自体には細かな内容は掲載せず、目次としての役割が増え、詳細はリンク先へ誘導する形は変わっていません。ただ、リンク先はWikiからアカウント管理されている新しいドキュメントシステムに変更されつつあります」(小泉氏)

スタートの迅速なメンテナンスが重要

「現在は従業員が560名まで増え、中には調べるよりも聞いてしまった方が早いという人もいます。また、会社が大きく変化しているところなので、新しいシステムに関する内容など、質問件数自体は減っていません。しかし、質問の内容は単純なものから複雑な質問にシフトしてきたという印象です」(小泉氏)

社内的に進められている働き方改革で増えた在宅勤務等の従業員など、直接質問をしづらい環境にある人にもFAQは活用されているという。

「導入から3カ月が勝負だと思いました。それまでに、調べれば答えが見つかると印象づけないと、システムを見限られてしまいます。記事を充実させたり整理したりといった地道な作業が重要です」(川村氏)

小泉氏も「表記揺れなどへの対応も3~6カ月である程度行わなければなりません」とスタート時のメンテナンスが重要だと強調した。

そのために役立つのが、OKBIZ.のレポート機能だという。0件ヒット、ギャップといったレポートからユーザーが求めている内容を把握し、対応していく。同じ内容でも、複数の検索キーワードが想定される場合には、類義語登録で同じ回答に導いている。

  • フィット&ギャップ

「記事への満足度に関するアンケートが末尾にあり、ギャップはその回答から算出するわけですが、フリーで記述できるメッセージ欄もあります。ここもけっこう活用されています。匿名だからこそ本音で言えるのかもしれません。誤字脱字の報告をもらうこともあります。表記揺れや誤字脱字は作成側でも注意していますが、なかなか対応が大変です。こういうことが好きな人を社内で巻き込むのもオススメです」と小泉氏は語った。