データを持つ企業や個人がAIをうまく活用することでビジネスへと結びつけるのか?大規模な例に目が奪われがちだが、Microsoft公式ブログでは、いくつかのケースを例にビジネスシーンにおける"データのあるところでのAI活用"を薦めている。

Arccos Golf公式Webサイト
ゴルフクラブのグリップ底部に、"くるくる"とネジのようにはめ込むキャップには14のセンサーが搭載されており、ユーザーのショットをトラッキング。ラウンドデータの統計、コースなどの情報と掛け合わせてゴルファーの課題を抽出するARCOSS 360(アーコス サンロクマル)。投稿者のJennifer Langston(ジェニファー ラングストン)氏は、スタートアップ企業であったArccos GolfがいかにAIを活用していったのかを紹介している。
すでにセンサーからの距離情報とスマートフォンのアプリを活用したプレイヤーのショットごとの詳細フィードバックを可能としていた同社は、創業2年目にAIをどの分野で利用するかの問題に直面していたのだという。もともとプレイヤーの詳細なデータを持つ同社は、これと既存の入手可能な膨大なデータを掛け合わせることで、さらに大きな分析が可能になる。
「あらゆるプレイヤーにバーチャルキャディを提供するというアイデアが生まれました。AIを活用することで、人間のキャディのように、バーチャルキャディはプレイヤー、コース、天気のことを知っており、最適なクラブを勧めることができます。」Arccos Golf のプロダクト&ソフトウェア担当シニアバイスプレジデントのJack Brown(ジャック ブラウン)氏の言葉がそれを裏付けている。現在同社のアプリでは、風速や高度のリアルタイム情報を取り込み、国内外4万を超えるコースの情報や100万を超えるユーザーコミュニティのショットデータから"AIキャディ"を実現している。
Jennifer Langston氏は、GartnerのAIと関連するビジネス価値が2018年の1.2兆ドルから2022年の3.9兆ドルまで3倍近く拡大するという予測を引きながら、多くの企業がデータを持ちながらそれをどこからはじめるべきか?何をはじめるかを選択できないという困惑を抱いていることを述べながら「データにあるところにAI」を推進している。
現実的な障壁のひとつが企業内のデータの状態の整備。企業内で縦割り状態、構造化できない状況ということがまず最初の課題にあるようだ。MicrosoftのAIマーケティング担当ゼネラルマネージャーのDavid Carmona(デビッド カルモナ)氏は"データが縦割り状態になっており、構造化できていない状況による困難を抱える企業の声を頻繁に聞きます。それらのデータをAIで活用するためには、まず整理しなければなりません。また、AI はデータのある場所に行くべきであり、その逆ではないと考えています。"とデータファーストな考え方がビジネスAIの本質であると同時にその取っかかりであることを示している。
電子カルテ、診断動画、処方箋、家族歴、電子メール、看護士との対話記録の10形式で情報を持つ病院を例に、同じ病状の患者に対して、患者の予測される入院期間によって要員を調整したいというケースを同社のツールを例にクラウド送らずにエッジ上でMicrosoft Azure Cognitive Servicesを活用し、イメージ内の単語認識、フレーズ抽出とAIを活用しながら非構造化データから有用な情報を発見する流れを示している。11月14日に公式ブログで発表されたコンテナ上でのCognitive Serviceの稼働は、帯域幅の限られた状況でのクラウド活用の応答性を高められるため、大きなデータのレスポンスやオンサイト(その場)にデータをとどめておきたいというニーズに応えられる。
散らばるデータとその状態把握し、自社はもちろんユーザーやクライアントにも還元できる考察が得られれば、それはサービスとしての価値の高まりを意味していくことになるということだ。