日本直販は、1976年に誕生した日本における老舗の通信販売事業者だ。テレビやラジオで展開される通販番組や、ヒット商品である「高枝切りばさみ」などが記憶にある人は多いだろう。長く総通が運営していたが、2013年からはトランスコスモスグループに事業が継承されている。
トランスコスモスといえば、コールセンターやデジタルマーケティングのアウトソーシング事業を展開する企業だ。そのトランスコスモスが日本直販を運営する中で、デジタルマーケティングやDMPへの注力が始まっている。
「現在の新規顧客は、テレビが3割程度と最も多く、残りがラジオ・新聞・Webで等分といったところです。顧客層は60~70代メインということで、目より耳から入る情報を利用しやすいためか、ラジオが伸びています。テレビとラジオは女性比率が6割程度ですが、Webは7割が男性なので、トータルでは男女比は半々といったところです」と語るのは、トランスコスモス 日本直販事業 副統括部長である伊藤寛氏だ。
同社の取り扱いアイテムは数千あるが、テレビやラジオでは100点程度に絞って紹介している。生活必需品以外を中心に、客単価は1万円程度だという。
「昨年の実績だと、年間50万人に利用されています。そのうち新規が20万人、再訪が30万人です。一時は利用者数が落ち込みましたが、トランスコスモスが運営するようになってから年々増えています」と伊藤氏。継承した事業を右肩上がりに転じさせた鍵は、対応の品質向上だという。
「注文の7割は電話によるものですが、お客様は注文したいだけでなく、話をしたい、相談したいという気持ちもあります。その両方に対応しなければなりません」(伊藤氏)
商品について詳細を知りたい、オペレーターと相談しながら選びたい、使い方について教えてほしいといった要望があるため、注文に必要な要素だけを聞き取って通話を切ってしまう対応では満足度は上がらない。受注数を確保しつつも、十分な満足度を与えられる対応を行うことがポイントだという。