今やビジネスとは切り離せないIT製品・サービスが一堂に会した日本最大級のIT展示会「2018 Japan IT Week 秋」。会場となった幕張メッセには、連日数多くの来場者が詰めかけ、各企業の最先端の取り組みを肌で感じながら「自社で活かせるものはないか?」と、気に留まったブースで解説員の言葉に耳を傾ける姿がそこかしこで見受けられた。
AIに関する展示は、チャットボットや画像認識などによる業務効率化が図れるとあって、各社多くの来場者の興味を集めていた。本稿でピックアップしてお伝えするクリスタルメソッドブースでは、自動化に貢献するAIを駆使したソリューションを提案していた。
クリスタルメソッドは、2008年に設立され銀行システムや証券トレードシステムなどの開発、日本国内でも急速に推進されつつあるキャッシュレス化等に代表されるフィンテック関連の開発、そして、独自のノウハウで深層学習を業務内にどのようにして組み込むかといった導入支援やAI開発を行う企業だ。ブースでは、対話型AIや、AIを利活用した音源分離、3Dデータを解析してその物体が何であるかを推定するデモンストレーションが展示されていた。
非常にユニークだと感じたのは、AIにより音源を分離することで、例えば工場内で工作機械の異常を音で監視できるのではないかというアイディアだ。「でも、工場内には様々な音が鳴り響いているのでは?」と想像するかと思うが、ここでクリスタルメソッドならではの“AIによる音源分離”というアプローチが活かされている。雑音が鳴り響く環境下であっても、特定の音のみを分離・取得する。人が持つ“カクテルパーティ効果”をAIによって再現し、工作機械が故障した際に発する異音をキャッチ、すみやかに対処できるようになるというわけだ。ブースのデモンストレーションでは、童謡やJ-POPの楽曲からボーカル音声のみを分離したものなどを実際に聞くことができた。
3D画像解析や音声対話、そして音源分離というオリジナリティがキラリと光るクリスタルメソッドのAIテクノロジー。日々の業務を、AIを駆使した自動化によって効率化させることができるのはもちろん、人間の聴覚同様のカクテルパーティ効果を再現することで任意の音のみを分離・抽出できる技術は、多岐に渡る業界で役立ってくれるのではないだろうか。