IDC Japanは10月22日、デジタルトランスフォーメーション(DX)イニシアティブにおける世界の地域差に関する5つの考察に関する調査結果を発表した。これによると、世界のDXイニシアティブにおいて推進状況の地域格差が大きいことがわかったという。
同調査は、同社が毎年行っているグローバルビジネスリーダー調査の一環といい、世界27か国でDXに取り組んでいるビジネスリーダー1987人に対してアンケート形式で行い、そのうち国内の回答者数は150人。
調査内容は、DXの推進状況、組織、課題、KPIなど多岐にわたるが、この中で北米、西欧、日本、日本を除くアジア地域について、デジタルイニシアティブの地域差がある5つの項目を特定した。具体的には、戦略、緊急度、予算化の施策、予算を負担する組織、目標の優先度の5項目となる。
同調査では、この5項目について定量的な差異を示すとともに、各地域のアナリストがデータの背景にある地域差の要因を補完する調査から考察を加えたもの。
企業や組織が複数のDXプロジェクトに対して統一的な戦略の下で長期的に推進しているデジタルネイティブ企業であるか、複数のDXプロジェクトが連携せずにばらばらに推進していて短期的な成果を追求しているデジタルサイロなのかを聞いたところ、北米だけがデジタルネイティブの割合が52.5%と過半数となり、西欧42.2%、日本42.0%、日本を除くアジア39.5%の順となった。
北米以外の地域では、デジタルネイティブが少ない理由はそれぞれ異なっており、西欧は企業の保守性が根底にあり、日本を除くアジアでは企業成長に伴いデリバリーのスピードが追いついておらず短期的な戦略になっていることが原因という。
日本では、まだDXに取り組んでいる企業が6割とほかの地域よりも少なく、DX推進組織の設置割合も27.9%と低いことが原因だと指摘。また、DXを成功させることにどれだけCEOがプレッシャーを感じながら取り組んでいるかを聞いたところ、北米では70.9%のCEOがプレッシャーを感じていたのに対して、日本や日本を除くアジアでは50%以下とCEOが感じている緊急度が低いことがわかった。
米IDCのIT エグゼクティブ、産業、ソフトウェア、サービス部門 シニアバイスプレジデントであるメレディス・ウェレン氏は、「IDC MaturityScape Benchmarkのデータによれば、地域ごとにデジタルジャーニーの推進速度が異なることがわかった」と述べている。
さらに、「最近行ったグローバルサーベイでは、調査に当たな次元の知見をもたらしている。デジタルイニシアティブの推進が地域によってどのように異なるかを見ることができる。ITサプライヤーにとって、どこにその違いがあるのかを理解することは、DX顧客とのパートナーシップの構築と長期的な成功にとって大変重要である」と分析している。