働き方を改革するには働く場所も大きなファクターのひとつになる。そもそも"働く"と一括りにしても業種や企業によりそのニーズは異なる。企業を訪問してみるとわかるが、受付から応接、会議スペースまで千差万別。つぶさに観察するとその企業が働くことに何を見出しているのかもわかるはずだ。
"明日の「働く」を、デザインする。(We Design Tomorrow. We Design WORK-Style.)"をミッションステートメントに掲げるイトーキ。1890年伊藤喜商店の創業からはじまる同社は、ゼムクリップやホチキスの輸入販売を1903年にはじめ、タイプライターや金銭記録出納機ゼニアイキの発売と事務機器に古くから携わっている。スチールデスクや椅子、パーティションなどのオフィス製品はもちろん、ワークスタイルに合わせたソリューションの数多くを提供している。同社の納入事例ページには数多くの事例が鮮やかな写真とともに並んでいるが、執務やミーティング、会議スペースといずれも目的がコンセプトとして明確に考えてあるのがわかる。
同社は12日、オランダはアムステルダムに本社を構えるワークスタイル変革コンサルティング企業Veldhoen+Company Pty Ltd(以下、Veldhoen社)との業務提携に向けた基本合意契約を締結したことを発表した。Veldhoen社は、Active Base Working(ABW)と呼ばれる"いつでも、どこでも、誰とでも働くことができる"ワークスタイリングをベースにしたビジネス戦略を提唱している。活動(Activity)をベースにした組織の働き方の戦略を90年代初めから開発している。リーダーシップコーチングとチェンジマネジメント(行動)、物理的環境(空間)、仮想環境(IT)が同社戦略の柱となっていることをイトーキでは紹介しており、Veldhoen社のノウハウとイトーキのオフィス設計のノウハウを組み合わせ、働き方改革ニーズに即したコンサルティングを提供していく構えだ。
なおイトーキは、ワーカー自らが働き方を自律的にデザインしていくコンセプト「XORK Style(ゾーク・スタイル)」を始動しており、ABWに基づく新本社オフィス「ITOKI TOKYO XORK」を東京の日本橋に開設、9日付けで都内に分散していた拠点を集約している。XORK StyleにおけるABWの実践例を同社は発表しているが、一人で行う高レベルの集中作業、二人でじっくり行うPC作業、三人以上のグループで行う知識共有などアクティビティに応じた専用空間、GPSや室内センサーなどICTによるビッグデータ収集、営業部門におけるSFA導入などICTや空間をトータルに考えた設計を行っている。同社は、「この新社屋オフィスを変革のドライブエンジンにし、仕事の仕方や働き方のルール、IoTやAIを用いたシステム環境との一体的な変革を推進し、XORK Style を実践してまいります。」と述べている。