10月1日にインフォテリア株式会社から社名を変更したアステリア株式会社は10月2日、昨年6月に発表したIoT向けミドルウェア、「Gravio」(グラヴィオ)」を大幅に強化した新バージョンの提供を開始した。

「Gravio」は、IoTを介したデバイス連携・制御やクラウドサービス等との連携を行うエッジコンピューティング用ミドルウェア。センサーからのデータ収集、データに基づくトリガー管理、トリガーによって起動するアクションの実行、センサー管理などを行う「Gravio サービス」と、これらの設定や動作監視を行う「Gravio Studio」で構成される。

  • 「Gravio」のサービス概要

新バージョンでは、中国のLumi United Technology(以下、Lumi)と業務提携によってIoTセンサーも提供するほか、画像AIによるソフトウェアセンサー機能を搭載し、画像に含まれる情報を機械学習(ML)による推論機能を新たに実装した。

  • ソフトウェアセンサー

Lumiは、中国国内で、煙探知、水漏れ、温度/湿度、振動探知、スマートドアロックなどのセンサーを提供してきた。同社は今回アステリアと業務提携を行うことにより、初の海外進出を図る。

「Gravio」では、Lumiが提供する振動、湿温度、スイッチ、人感、開閉の5つのセンサーのほか、太陽光発電などの2つのセンサーを提供。ユーザーはこれら7つのセンサーを組み合わせて利用できる。「Gravio」が提供するLumiセンサーは、すでに同社が販売しているものを、パーソナル・コンピュータ上で作動するように改良したもの。

  • Lumiが提供する「Gravio」のセンサー

利用料金は、センサーデバイスは提供されないものの、無償で使える「Gravio Free」、センサーデバイスを最大4個まで利用でき、月額500円の「Gravio Basic」、センサーデバイスを最大10個まで利用でき、月額2万円の「Gravio Standard」の3つのプランがある、これらは主にPoC(Proof of Concept)用途を想定している。

  • 「Gravio」の3つのプラン

今後は、大量のセンサーや複数人による管理を実現するEnterPrise版も来年3月までに提供する予定だ。

同社 代表取締役社長/CEO 平野洋一郎氏は「IoTが一般に普及したのかといえば、工場、医療、災害対策など、特定の領域でのみ使われている。まだ、オフィス、学校、店舗で普通に使われているわけではない。そのボトルネットとして、何を選んでいいのかわからない、エンジニアでなければ無理、思ったよりコストがかかるという3つの課題ある。Gravioでこれを解決する」と述べた。

  • アステリア 代表取締役社長/CEO 平野洋一郎氏

  • 「Gravio」で3つの課題を解決。何を選んでいいのかわからないは、Lumiとの提携によるセンサー提供で、エンジニアでなければ無理はノン・プログラミングで構築できる「Gravio Studio」で、コストはセンサー付で月額500円から提供することによって解決するとした

同社は、IoTはエッジ側で処理するのが有効だとしており、エッジで繋ぐミドルウェア「エッジウェア」として、普及を図っていく。そのため、販売、構築、デバイス、AIモデル開発、アプリ開発の各パートナーのエコシステムを今後構築する予定だ。

主なターゲットは一般オフィス、店舗、学校の3つで、PoC段階では直接販売も行うが、実装に移っていく段階で、パートナー販売にシフトしていく。

  • 主なターゲットは一般オフィス、店舗、学校の3つ

同社では、2018年度中に1000ユーザーの獲得を目指している。