図研プリサイトはこのほど、AI実装フルオート型ナレッジ活用ソリューション「Knowledge Explorer」の販売を開始した。価格は660万円(初年度保守費用込み)~。
新ソリューションは、情報活用・ナレッジマネジメントソリューション「Knowledge Concierge」を大幅にリニューアル。
図研プリサイト マーケティング部 コグニティブビジネス推進課 課長の倉本将光氏は「特に重要語句抽出AIを搭載したことに加え、抽出した重要語句による分析機能が目玉だ」と、強調する。
学習済みAIを用いて重要語句を抽出
重要語句抽出AIは、同社がこれまで培ってきた自然言語処理技術をベースに、手書き文字および図形の認識、プログラミングなどによる人間の能力拡張に深層学習を適用することでさまざまな技術開発を行うギリアからAI技術の提供を受けて開発。
仕組みとしては、企業の情報を蓄積したKnowledge Explorerサーバに文書読込・索引化し、文字情報を抽出した上で品詞ベースで分解。その後、AIに単語連結から重要語句を抽出し、関連度を設定する。仕様書などのドキュメント作成の情報を捕捉したい際に通知されたキーワードをクリックすると、社内にある有益なドキュメントを見つけることができるという。
例えば、製品仕様書などのドキュメント作成時に内容がある程度完成に近づいた段階で必要になる情報を得たい場合、仕様書のWordファイルを起動し、リボンタブでメニューを表示後に参照をクリックすれば、業務に必要なキーワードを通知。
選択したキーワードに応じたナレッジが提示されるが、ナレッジが多いときはサジェストキーワードやキーワードの関連を見ながら絞り込みを可能としている。
倉本氏は「重要語句だけでなく、関連性の強さなども同時に抽出でき、従来と比較して精度向上を図っている」と胸を張る。
また、図研プリサイト コグニティブテクノロジー開発課 課長の外村亮輔氏は「AIを顧客に鍛えてもらうのではなく、あらかじめ特定の分野について学習済みのAIを提供する。これにより要件を定める必要がなく、教師データも必要ない。また、学習期間も不要で導入後すぐに利用できる」と未学習AIと比較した優位性を述べた。
特筆すべきポイントは学習済みAIを用いていることだ。短絡的に考えてしまえば、学習しなくても汎用性があるのかは気になる点だ。
この点に関して、図研プリサイト 代表取締役の上野泰生氏は「われわれは日本語の文章を主な対象となるため、大量に日本語データが存在している教師データを取得し、これをベースに学習している。インストールすれば、すぐに関連性の強い語句を抽出する」と説明した。
可視性を持たせた分析機能
分析機能については、重要語句同士の関連を俯瞰し、ナレッジの全体像を把握する「ネットワーク表示」「エッジバンドリング表示」、関連する重要語句の多さ・強さを表現する(ナレッジの中核となる語句)「バブルチャート」「ワードクラウド」を備える。企業文書に潜む重要語句を見える化し、利用者の気付きを促すとともに可視性を実現している。
ネットワーク表示は選択した重要語句と関連が強い語句が連動するほか、エッジバンドリング表示は選択した重要語句を中心に関連語句を放射状に表示。バブルチャートは重要語句同士の関連の強さ・多さをバブルの大きさで表示することに加え、重要語句同士の関連の強さ・多さを文字の大きさで表示する。
ターゲット市場・部門について上野氏は「多様な業種を想定しているが、組立型・プロセス型を含む製造業全般、研究開発・生産・品質保証部門となり、特に食品業界での導入が進めていければと考えている。また、メディアや金融関連などをも想定し、情報活用に感じている部門を対象とし、年度内に50社への導入を目指す」という。
今後の展望として外村氏は「単語をカテゴライズは業務に役立つ観点から、ドキュメント自体をなんらかの尺度で分類したり、管理情報を付与して検索しやすくしたりすることなどを検討している」と話す。
ライセンス形態は、クライアント機能はネットワークライセンスとして提供し、従来のネームドライセンスから変更している。さらに、従来は有償で実施している貸出評価を先着5社に無償で実施する。