キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は9月13日、イーセットジャパンを設立し、同1日から業務を開始したと発表した。

同社は2003年に国内総販売代理店としてESETの取り扱いを開始し、2015年~2018年の年平均成長率は12%となっている。ESETの性能の高さと、キヤノンITSの提案・サポートが強みとなっており、顧客満足度は高いという。

キヤノンITソリューションズ 代表取締役社長の足立正親氏は「今後、ESETビジネス成長のためにはユーザーの状況変化に対応した包括的なセキュリティソリューション・サービスを提供する必要がある」との認識を示した。

  • キヤノンITソリューションズ 代表取締役社長の足立正親氏

    キヤノンITソリューションズ 代表取締役社長の足立正親氏

これを実現するために同社はイーセットジャパンと連携し、「ソリューション創造」「情報発信強化」「サービス提供強化」の3点を挙げている。

ソリューション創造では脅威動向やニーズを迅速に製品に反映し、情報発信強化については最新の脅威に備えて迅速に情報発信する。また、サービス提供強化に関してはセキュリティ対策上の問題を迅速に解決するという。

  • 「ソリューション創造」「情報発信強化」「サービス提供強化」の概要

    「ソリューション創造」「情報発信強化」「サービス提供強化」の概要

企業におけるリスクの最小化を図るため、ESETは予測から検知・対応まで広範にわたるエンタープライズ製品を提供し、同社はプロフェッショナルサービスとして高度セキュリティエンジニアによる専門的な支援体制により、顧客への提供価値を向上させていく方針だ。

大企業と個人向けにフォーカス

ターゲットに関して、イーセットジャパン カントリーマネージャーの黒田宏也氏は「中堅企業に対するシェアは10%を超えており、今後は中堅企業に加え、大企業、個人向けに注力する」と展望を述べた。

  • イーセットジャパン カントリーマネージャーの黒田宏也氏

    イーセットジャパン カントリーマネージャーの黒田宏也氏

大企業は、市場規模が大きいだけでなく成長が著しく、新ソリューションの導入により大企業に対するニーズに確実に応える。また、個人向けは市場規模が半分を占めるため、ブランドのアピールと認知拡大に取り組む考えだ。

これにより1~2年目はリソース、体制を確立し、新ソリューションの導入、3~5年目に年2桁の売り上げ成長を目指し、その後はトップ3ベンダーの位置を確保していくという。

  • イーセットジャパンが描く成長曲線

    イーセットジャパンが描く成長曲線

具体的な新ソリューションとしては、2018年末にクライアント&サーバ保護の「ESET Endpoint Protection」と統合管理の「ESET Security Management Center」、2019年内にクラウド型サンドボックス「ESET Dynamic Threat Defense」、脅威インテリジェンスサービス「ESET Threat Intelligence」、EDR(Endpoint Detection&Response)の「ESET Enterprise Inspector」の提供を予定している。

  • 提供予定のソリューション群

    提供予定のソリューション群

両社の取り組みがネクストステージへ

ESET Co-Founder and Board Memberのミロスラブ・トゥルンカ氏は「1992年にESETを3人で設立し、当時は冷戦時代が終焉を迎え、相互接続されたサイバー空間を守るというビジョンを据えることができた。昨今では、あらゆる脅威に対し安全なサイバー環境を構築しなければならないが、そのような状況で日本のパートナーであるキヤノンITSには感謝しており、日本法人の設立により、共通の取り組みのネクストステージを迎える」と、期待を口にした。

  • ESET Co-Founder and Board Memberのミロスラブ・トゥルンカ氏

    ESET Co-Founder and Board Memberのミロスラブ・トゥルンカ氏

また、ESET CEOのリチャード・マルコ氏は「現在、欧州や北米、南米、アジア太平洋地域を含めグローバルで20以上のオフィスを展開している。今回、日本に新しいオフィスを開設し、大きなステップだ」と、胸を張る。

  • ESET CEOのリチャード・マルコ氏

    ESET CEOのリチャード・マルコ氏

さらに、昨今ではIoTが注目を集めていることから、電力会社などエンタープライズカスタマーにソリューションを提供することが重要だという。同社は、R&Dセンターで培った人間の専門知識、機械学習、サンドボックス、リピテーションで構成した4つの技術要素をベースに複雑な脅威に対応した製品を提供しているが、製品自体も複雑となっている。

  • ESETのエコシステム

    ESETのエコシステム

同氏は「このような状況に対して適切な戦略が必要となるため、日本法人を立ち上げた。現在、国内マーケットシェアは4位だが、ほかのベンダーよりも急成長しており、さらに上を目指す。複雑な製品には適切なサポートが必須であり、キヤノンITSと共同でセットアップから防御、対処までを含む多様な製品を展開していく」と抱負を述べていた。

  • 左からマルコ氏、足立氏

    左からマルコ氏、足立氏