セキュリティサービス「BoxShield」などを発表
セキュリティについては、「製品への組み込み」を強調する。「使い勝手を維持しながら安全性を確保するには、セキュリティを別な機能として提供する多くのベンダーの手法は間違っている」とLevie氏。「デジタル時代にあったセキュリティとデータ保護のアプローチが必要だ」と述べる。
BoxWorksでは、最新のセキュリティサービス「Box Shield」も発表した。コンテンツのアクセスや配信の安全対策を行うもので、機密扱いのデータはダウンロードできないなどの権限を設定し、異常な行動に対してアラートを送るなどの機能もある。「デジタル時代向けのインテリジェントなセキュリティ機能」という。BoxShieldはベータ版として、2018年末に提供を開始する。
Cloud Content Managementを土台とするのはBoxのファイル共有やコラボレーションなどBoxのアプリだけではない。1400以上のサードパーティアプリとも連携できる。これらがすべて「信頼できる唯一の情報源」に接続することになる。さらに、開発者が自社向け、業界向けにカスタムアプリを構築できるSDKも備える。Levie氏によると、開発者は15万人に達しているという。
BoxWorksでは、2年前に提携したGoogleと「G Suite」の統合をパブリックベータにしたことも発表した。Google Docs、Google Sheetsなどのドキュメントの作成や編集をBox内で行うことができる。変更はBox側に保存されるため、一貫性のあるセキュリティ、規制遵守を実現できるとしている。Microsoft Officeのファイル形式に変換することも可能だ。Gmailについても、Gmail上でBoxにあるファイルを添付したり、Boxに添付ファイルをダウンロードしたりできるようになった。
また、Boxの上でSlack、Salesforceなどサードパーティのアプリから関連性のあるコンテンツを表示する「Activity Stream」を発表(提供は2019年)、コメント、ファイルやフォルダの変更などBoxで起こっていることをリアルタイムに一元的に把握できる「Box Feed」がパブリックベータになったことも発表した。
AIでも各社と連携可能な中立なプラットフォームを提供
これらが従業員にフォーカスした「デジタルワークプレース」とすれば、Boxはデジタルビジネス側にも取り組みを拡大している。土台におけるビジネスプロセスとの接続があって初めて、エンゲージの高いサービスを実現できるからだ。
この日は、ユーザーが作業にあたってプロセスを自動化するよう設定できる「Box Tasks」、自動で次のアクションを設定できる「Box Automation」の強化を発表した。
2017年に発表した、「Box」に保存されているコンテンツに機械学習を適用することを可能にするフレームワーク「Box Skills」もアップデートされた。「Box Skills」は、IBM Watson、Microsoft Azure、Google AutoML、AWS SageMakerなど、さまざまなベンダーの機械学習関連のサービスや技術を利用できるオープンなプラットフォームになっている。
画像、動画、音声と3種類のBasic Skillsを提供するほか、カスタムのスキルを構築する「Box Skills Kit」も提供する。「Box Skills Kit」は現在、ベータ版として提供されているが、2018年12月に一般提供とすることが発表された。Box Skillsで利用できるカスタムトレーニングモデルとして、IBM Watson Studio、Azure Custom Vision、Google AutoML、AWS SageMakerなどで作成したAIモデルを簡単に適用できるようになった。
Levie氏は最後に、「今後3年はこれまでの30年間よりも大きな変化があるだろう。どのように働くか、ビジネスプロセスの両方が大きく変わる」とし、Boxのプラットフォームにより変化に先んじることができると強調した。