Boxは8月29日、米サンフランシスコで年次イベント「BoxWorks 2018」を開催した。初日の基調講演では同社の共同創業者兼CEOのAaron Levie氏が、ここ数年で進めるコンテンツマネジメントプラットフォーム戦略について話した。同社は、コンテンツを中心にデジタル時代のビジネスと働き方を提案する。

  • Box 共同創業者 兼 CEO Aaron Levie氏

顧客数は8万7000社に、進化を続けるBox

Levie氏は2005年、南カリフォルニア大学在学していた20歳の時にBoxを共同創業した。以来13年の間、CEOとしてBoxを率いている。2015年にはIPOも果たした。

Boxは企業向けに安全性を特徴としたクラウドストレージ、ファイル共有としてスタートし、Coca-Cola、米航空宇宙局(NASA)など顧客数は8万7000社に達しており、Fortune 500の69%がBoxを導入する。ここ数年は、コンテンツマネジメントプラットフォーム「Cloud Content Management」をプッシュしており、コラボレーションなどサービスの拡充に加えて、統合するSaaSアプリの拡充も図っている。

この日の基調講演は「コンテンツマネジメントプラットフォーム」がテーマとなった。

なぜコンテンツマネジメントプラットフォームが必要であり、Boxを選ぶ理由は何か?――Levie氏は昨今の環境の変化として、「市場の変化が高速化・異業種や新規参入が簡単になった」「顧客と従業員がリアルタイムとパーソナライズを期待している」「パートナーやエコシステム」「サイバーセキュリティやプライバシー」の5つを挙げる。こうした変化に企業が対応していくための方法はただ1つ、これまでとは異なるオペレーションを持つ「デジタル企業」になることだ。

「デジタル企業は、働き方や文化、オペレーションが異なるだけではなく、ビジネスプロセスも変える必要がある」とLevie氏。ビジネスプロセスを変える方向性としては、アジャイルかつリアルタイムで変化に応じる働き方、データ主導の意思決定、AIによるワークフローの自動化、知的所有権の流れを保護できるセキュリティなどが考えられる。

プラットフォームが実現するSingle Source of Truth

コンテンツを活用する際は、データから最大の価値を引き出したり、組織内・外との情報共有、端末や場所による制限を受けないアクセスなどを実現したりする必要があるが、その中でどうやって情報を管理、共有、運用し保護するか。

この分野ではこれまで、レガシーのネットワークファイル共有、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)があった。前者はさまざまなデバイスからのアクセスが難しく、後者は複雑で日常使いが難しいという課題を抱えていた。Dropboxなどのコンテンツファイル共有・同期は、コンシューマーにとっては便利だが企業向けの機能がない。IaaS上の基幹アプリケーション、SaaSに対しても、前者は多機能だがナレッジシステムとの接続がない、後者は他のデータに接続できないなどの短所がある。

  • ファイル共有、コンテンツ管理へのこれまでのアプローチ。Boxはこれらとは一線を画す

「単一のモデルでコンテンツの管理、安全対策、プライバシー保護を実現し、さらにすべてのビジネスシステムと接続するプラットフォームはない」とLevie氏、この実現こそがBoxのコンテンツマネジメントプラットフォーム「Cloud Content Management」が目指すところだ。

Cloud Content Managementは、以下のような機能を備える。

  • シームレスかつ安全な社内・外のコラボレーション
  • コンテンツにとって信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth)
  • 企業をまたがるビジネスワークフローの自動化/フロントオフィスとバックオフィスの接続
  • 高度な機械学習による非構造データから洞察を取得
  • セキュリティと規制遵守をあらゆる業界と地域で実現