IDC Japanは8月14日、世界スマートシティ関連テクノロジーの市場予測を発表した。最新版のIDC Worldwide Semiannual Smart Cities Spending Guideによると、スマートシティ・イニシアティブは2018年に全世界で810億ドル以上のテクノロジー投資を引き寄せ、支出額は2022年に1580億ドルまで拡大するという。

今回の発表は米国で2018年7月23日に米IDCが公表したものとなり、IDC Worldwide Semiannual Smart Cities Spending Guideの最新版では、取り上げた25のユースケースについて規模の詳細を伝えるとともに、都市レベルでの支出に関する新しいデータベースを初めて公開している。

同データベースによると、インテリジェントな輸送とデータ主導の公衆安全が引き続き、最大の投資分野となるものの、バックオフィスとプラットフォーム関連のユースケースにも、相当な支出額と成長が想定され、いずれも公表されているほどではないにしても、世界中の都市で密かに増えている現象だという。

2018年の世界におけるスマートシティ支出の4分の1近くが集まるとされる大型ユースケースの上位3つは「固定式の映像監視」「先進的公共輸送」「スマート屋外照明」。2022年までに、インテリジェントな交通管理がスマート屋外照明を抜いて第3位に浮上するが、上位3つのユースケースが支出額全体に占める割合は、5分の1にすぎないと指摘。

つまり、小規模かつ急成長中のユースケースが次々と現れ、限界に近い規模に達しており、特に警察官用ウェアラブルとV2X(Vehicle-to-Everything)は、急成長するが、現時点ではほとんどの地域で小規模のレベルからスタートしたところだという。

地域別に見ると、中国と日本を含めたアジア太平洋地域が2018年の全世界の支出額の42%近くを占め、アメリカ(33%)、ヨーロッパ、中東、アフリカ(EMEA)(25%)が続く。国別市場で見ると、スマートシティの支出額が最大なのは米国で(2018年、230億ドル以上)、次いで中国となる。

3大ユースケースは、全地域にわたる支出額の上位5つに含まれるものの、現在、最大級のスマートシティ投資分野に出現しているほかのユースケースには、米国および中南米のモバイルビデオ撮影/録画、中東およびアフリカ地域のデジタル許可、ライセンス、検査などがある。

現在、IDCのデータベースで一定の規模がある53都市の支出額は、全世界のスマートシティ支出の15%前後を占め、2018年の投資額で見ると、シンガポール、東京、ニューヨークシティ、ロンドン、および上海が先頭集団となる。

米IDC Government Insights & Smart Cities プログラム バイスプレジデントのルスビー・エスナー氏は「都市部に加え、スマートシティおよびコミュニティ計画/プロジェクトへの、民間および公共部門による力強い投資が続くと予測しています。これは、さらに競争の激しい市場になることも意味します」と述べている。